劇団イナダ組『シャケと爺と駅と』

劇団イナダ組「シャケと爺と駅と」をコンカリーニョにて。感動できるお芝居なのだけど、観る側が余計な事を考えてしまい入り込めなくなるという結果に。これは完全に観る側(私)が悪い。もちろん、その状態でも最後まで楽しめて、感動的ではあったのだけど。啜り泣く人も多かったですし。
武田さんの老け役はバッチリ決まっていた。さすが主役の貫禄。藤村さんの苛立ってキレる様子は、もしかしてテレビの現場でもこんなじゃないだろうかと思える自然さ。他の出演者も、それぞれの役にキッチリはまっていて、さすがに外れないなあと思えました。


内容(というかセット)に少し触れます。

考えた余計な事は「回想」シーンに出てくる改札のセットです。時計が動かず、同じ時刻のままである事からわかるように、細部は気にしちゃいけないのですが、台詞で「40分の汽車」と出るとつい確認してしまい、考えてるうちに先に進むという。
この辺りは、描いているテーマが身近に迫っている重いものだったので、そこから目をそらそうとして、そんな事を考えてしまったのかも知れません。
重いテーマだけど、コミカルな要素もしっかりあって、感動させる。お値段以上の価値は間違いなくありました。

そういえばタイトルにあるシャケって必要だったんだろうか。その点だけが疑問。

  • 2017/05/06
  • コンカリーニョ
  • 1時間50分

text by 小針幸弘

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。