思い込みの怖さと面白さ 札幌座『象じゃないのに…。』

もともとは韓国の現代演劇作品で社会派演劇のようですが、現実に存在する政治家を彷彿させるギャグや、キャラクターの極端な思い込みを表現した役者さんの表情やセリフを、単純に楽しませてもらいました。

観劇前には、タイトルの『象じゃないのに…。』の『…。』部分にある種の不安感、期待感を持つとともに、札幌座の代表作である『亀、もしくは…。』とはどう違うのかなあ、と思っていました。

物語は、動物のパレードから象が逃げ出して立会演説中の知事候補を踏み潰した(!)ことから始まる飼育員の苦難と、その真相はなんなのか。事情聴取を受ける象の飼育員を巡るドラマ、医者、刑事、同僚、そして母親、それぞれの所属環境からくる思考の違い、そして関係性から生じるそれぞれの思い込み――特に、精神鑑定を行う医者が、飼育舎の中で象の体の一部を触っている飼育員を見たという飼育員の同僚の証言から、飼育員を性倒錯者と決めつけるくだりなど、ある意味怖い面と面白さを感じた興味深い内容で、私の人にオススメしたい作品のひとつとなりました。

投稿者:ともぞう

text by ゲスト投稿

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