【招待企画】納得いかない。 クラアク芸術堂『5月の蝶』

観劇後に私の中を支配していたのは、「面白くなかった」ということでした。
ナンセンスと銘打っているからには、と言うノリでうんこを出す。下ネタは意味なく面白いものだと思いますが、使い方が上手でないと思いました。

メタ的な笑いが多過ぎました。ラストやストーリーに合わせての作りなのかもしれませんが、あまりにわざと臭くて受け付けませんでした。
小ネタがたくさんありましたが、パロディも時事ネタも、展開を容易に予測する材料になったり、配慮が足りないと感じたり、気持ちよく笑えるものは少なかったように思います。

ストーリー展開は王道で、ぐちゃまぜの混沌に現れるまさかのラスボス、終焉、打破、しかし終わる、転生、再会、ハッピーエンド(?)。撒き散らされた話群を豪快に収束させていました。矛盾も後ぐされもありませんが、私は納得がいきません。なんでもありなんだから、なんでもあり。現実の苦さと奇跡をあんまり都合よく勝手にされてしまうと、ちょいと腹が立ちます。人間のどの部分を描きたいのか伝わってきませんでした。描き方も少し雑かと。

それから、例えばですが、観客を振り回すものなら振り落として欲しかったです。後半にかけて駆け上がる感じはありましたが、展開が読めてしまい、(うまくまとめちゃうんだろう)と思うとラストの演出もうざったく感じました。

ナンセンスって、とてもセンスを要すると思っています。意味を持たないことに面白さを感じることは多々ありますが、その絶妙を表現するのは難しい。是非、突き詰めて行ってほしいなと思います。

役者の皆さんの熱量には圧倒されました。だからこそ、メタフィクションな叫びも刺さりました。命がけの2時間だったと思います。
2時間の長さは長く感じました。もう少し濃縮した方がさっぱりしたと思います。

好みで意見を述べてすいません。私はこのように思いましたが、終演後、立って拍手をされた方もいらっしゃいました。観方は生き方かもしれないと自分を恥ずかしくも思いました。ですが、以上述べたことが私の率直な感想です。貴重な機会、ありがとうございました。

  • 2017/5/28 16:00〜
  • コンカリーニョ

投稿者:すこげ

text by 招待企画ゲスト

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