【特別寄稿】演劇のイベントから札幌のイベントへ  寄稿者:佐久間泉真

 
最初の札幌演劇シーズンが始まったのは、僕が中学1年生のときだった。中学演劇部に入部し1年が経とうとしているころ、当時のシーズン参加作品であった札幌座『亀、もしくは…。』を観に行き、強いドキドキとワクワクを抱いたことを覚えている。

それ以来、シーズン参加作品は極力観るようにし、素晴らしい作品たちにたくさん出会った。この5年間における札幌演劇シーンの発展や、札幌演劇シーズンがどれだけそれに貢献しているかは、学生ながらも感じていた。観客動員数は回を重ねるたびに増加し、多くのメディアで取り上げられるようにもなった。札幌演劇シーズンは「演劇関係者や演劇ファンにとって」欠かせないイベントだ。

札幌演劇シーズンの目的は「演劇の持つ力で札幌の街をさらに活力あふれる街に変えていく」 (札幌演劇シーズン公式サイトより)こと。演劇によって札幌市民や観光客の生活を豊かにすることだ。そのためには、関係者やファンのためだけの閉じたイベントにとどめてはいけない。札幌の重要な観光資源として、あるいは札幌の文化として成長していかなくてはいけない。雪まつり やヨサコイのように。次のステージはそこだ。演劇のイベントから札幌のイベントへ。

 
d-SAPは札幌演劇を中心に取り扱うウェブサイトで、公演情報の他に役者インタビューやお役立ち情報などを掲載している。高校3年生の時に友人と立ち上げてから半年が経過し、少しずつ認知度が高まっている。ありがたいことに応援メッセージや「利用しています」という声もいただいている。

今回の演劇シーズンでは大きく連携させていただき、劇団や実行委員会へのインタビューや、SNSを利用してのお得なサービスなどを実施している。「演劇関係者や演劇ファンにとって」必要とされるメディアになりつつある。
d-SAPもそろそろ次のステージへ進んでいかなくてはいけない。演劇を普段観ない人が、劇場に足を運びたくなるようなコンテンツをお届けしていくことを目標とする。関係者を含め、札幌演劇にハマっている人だけでなく、観客予備軍というか、新しく劇場に訪れる人を増やすために何かできないか…。劇場付近の飲食店とのコラボ? 別の分野とタイアップ?

演劇好きが面白いと感じるものと、演劇を普段観ない人が面白いと感じるものは違うことがある。初めてお芝居を観る人が、次も観に行きたいと思えるような作品を期待する。そんな作品こそ、シーズンに参加するべきである。札幌演劇シーズンは、札幌演劇人が自分を認めてもらうための場ではなく、札幌という都市の重要な資源だ。

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寄稿者:佐久間泉真
演劇情報サイトd-sapメンバー

text by ゲスト投稿

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