○これまで観た清水友陽の作品(演出だけ・作だけを通じて)の中で、一番面白かった。脚本も演出も完成度が高い。脚本を読んだだけでは(たぶん)想像できない世界を立ち上げていると感じた。舞台作品の醍醐味。演技のトーンも揃っていた。綺麗。
○たくさんの寓話をはさんで迷走的に展開する幻想小説のようなイメージの作品。
メタ演劇だよね、と思ったら、ある人に「ポストドラマ演劇というのだ」と教えてもらった。演劇でありつつ、既存の演劇のセオリーを裏切っていく作品。それが札幌でもこのレベルで作れるのか!と驚いた。
○これまでの清水友陽作品では、創り手が自分たちの面白さの中に浸るひとりよがりなものを感じた。が、本作では常に客観視点が登場するので気持ちがいい(コミカル要素も行きすぎない程度だった)。
なるほど、これまで見かけた要素はこの方向性を狙っていたのか、と思った(既存脚本でやるのは無理があったのでは…)。
○鳥、太古の海、化石、卵、夢といったモチーフやリズムと声に、創り手がこの作品に至るまでに作ってきたもののかけらを連想した。
○単線ではないセリフの重ね方が音楽のように美しい。抽象的なセットも面白い。
○詩のように美しく、残酷な童話のようにえぐみがあり、チープな絵本のように馬鹿馬鹿しい。全体としてはシュールだ。
○動物園がシアターZOOというオチには笑った。観られているのは私たち(笑)。
○「わかっていてもわからなくてもどっちでもいい」「…フィクション!」…そうですよね(笑)。たまには話して聞かせてください。
○たぶん、観る人を選ぶ作品。私はこのところ既視感のある物語に飽きていたので、物語を裏切っていくこの作品をとても面白く感じたのだと思う。最後まで集中して、想像を楽しみながら観ることができた。気持ちよい体験だった。
2017年7月30日(日)11:30 シアターZOOにて観劇
text by 瞑想子