再演で完成度アップ! 平原慎太郎ほか 近代文学演舞『地獄変』

上演から時間が経ってしまったこともあり、簡易的なレポートにてお許し願いたい。
展開や出演者の詳細などはやすみん氏の投稿をご参照あれ。
 
 
○昨年の初演時は、実験的な取り組みとして素晴らしいとは思ったが、作品の完成度としてはもうひとつ、と思った。
・演劇部分とダンス部分の接続がしっくりしてないように感じた
・展開がもじもじしていて、じれったい部分が多かった
・寺の本堂かつ畳の上の動きとしては、重心が高く空間とのバランスが悪く感じた。ドタバタした部分も空間とそぐわないと思った
・もちろん、寺の本堂という場の力、ダンス、演技など各パーツは素敵だった

○今回の再演では、上記の部分が見事に解消されていた。
・演技とダンスは自然な流れで組み込まれていた。展開のテンポも良かった
・低い重心からのキレのある動きが多く、空間との調和を感じた
・走り回るシーンもシュッとした動きでうるさくはなかった。浜田純平の動きにキレと凄みが加わった…!
・すがの公の語りが空間の雰囲気とマッチ
・『藪の中』は、もうここだけで上演してほしいくらいの名作。そぎ落とされた言葉と身体の動きでの表現が想像をかき立てる
・『葵上』は、なんといっても女が生き霊になる瞬間が素晴らしい。怖い。東華子の艶と妖しさよ…
・『地獄変』は、…ここまで素敵だったのに素笑いしないでくださいよ、大殿。台無しです。だがアブノーマルな味付けは面白かった
・サルの絶叫が胸に痛い…こんなに役に入りきる方だったかしら。素敵
・平原慎太郎のダンスの見事さは言わずもがな。私はこの方の手の動きが好き。雄弁。空間にアプローチする最初の動きが特に。今回は、ラストの天に伸ばした指の動きがフェチにはたまらん
 
 
2017年7月29日17:45 観音寺本堂にて鑑賞

text by 瞑想子

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