エピソード間の日常を考えたくなる 浦とうふ店『タウが見た半透明の風景』

浦とうふ店「タウが見た半透明の風景」をBLOCHにて。WOHのTGR参加作品「正しいけれど正解じゃない」の印象に残るサブエピソードを切り出したもの。シェアハウスの住人との摩擦を丁寧に描いているけど、他の登場人物の背景説明を最小限に抑えているので、よりわかりやすくなった様な気がします。
留学生タウは、きれいな日本語だけど、選択する単語が微妙にズレていたり、聞き取りやすいけど、どこか一本調子の話し方といったところで、違和感を出していたように思います。もちろん価値観が違うというのが、最大のものですけど。他の住人がイラっとするのも少しわかる。
受け入れる住人は、友好的であるように見えて実は壁を作り遠巻きに見ているザ・日本人。
そんな中、プーさんは、いい加減でイラつく存在のはずなんだけど、遊びを教えようとする以外は、しっかりと留学生に向き合っているように思える住人の中の良心にも思えました。
元々がサブエピソードだったからか、問いかけはあるが何か結論めいたものを出す話にはなっていない。鍋の後の心が悲鳴をあげ始めているんじゃないかと感じる報告とか、鉢植えの話とか、細かな話の積み上げから、その間の日常やその後の話を想像させる作品でした。

  • 2017/08/26 20:00
  • BLOCH
  • 約1時間30分

text by 小針幸弘

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