「半神」は、全部意味がわからないからこそ面白い。きっと何回も観たらだんだん気づくことが増えるのだろう。観劇中は何かを考える暇がなかった。演劇を浴びる、みたいな感覚。
「人間」を感じた。命の生々しさのようなもの。主人公が女の子だからこそというのもあると思う。女の子独特の大人び方と純真さとそれゆえの怖さのようなものを感じた。
気づいたら始まっている、に驚いた。役者の皆さんの和やかな雰囲気からすんなりと舞台の世界に入ることができた。所々入っていた稽古のような演出は面白かったけれどちょっと集中が途切れる感じがした。…実はそれが目的だったのか?「ここは笑っていいんだろうか」と迷ってしまう場面があった。
ダンスがあることで舞台が広く感じた。セリフ、音楽、光、ダンスが1つの美しいものになっていた。メイク、衣装、舞台セットとそれらが作り出す世界観がとても好きだ。
劇場から出てもしばらくあの世界から抜け出せなかった。遠い世界には思えなかった。異世界ってより自分の中をえぐり出されてるって感じで気持ち悪い。好きな気持ち悪さ。不思議と暗い気持ちにはならなかった。
心配してたほど「意味がわからない」から感想が書けない、という事はなかったけれど、自分の言葉で表現しきれないという意味で感想が書きにくかった。それほど初めて出会う感情だった。この舞台に出会えてよかった。
心地よい疲労感。甘いものが食べたくなった。
投稿者:レモン牛乳
text by 招待企画ゲスト