静かな話 弦巻楽団『サウンズ・オブ・サイレンシーズ』

弦巻楽団「サウンズ・オブ・サイレンシーズ」をシアターZOOにて。まず札幌で上演してくれた事に感謝。ありがたや。静かに進むけど、同じ場面が別の視点、証言で繰り返される「藪の中」型の話。観終わった後に、その後を色々と想像し、場面場面での意味をもう一度考えたりして、誰かと話したくなる。
姉の話し方が特徴的。台詞だけ聞くと、泣き叫んでもおかしくない内容なのに、あくまで抑制を利かせた風に話す。本当に怒っている人が怒鳴らずに、そして決して許すつもりがなく話している場面に居合わせたみたいな心持ちになる。後からじわじわ来る怖さ。
話が静かに進むように見えるのは、感情的な話し方をしているのが妹だけだから。残りの人物も、感情表現を大きくしてしまえば、内容・台詞からみて相当印象が変わる話だと思う。もっともそうなると、この作品の魅力がかなり減じてしまうのだけど。
静かなお芝居だけど、水音が印象に残る。満ち潮、引き潮が人の誕生と死に関連するなら、水槽の水の泡立ちは何に関連するのだろう。表面化していなかったものの発覚なのか、誰かの心の乱れなのか。うーむ、書いているうちに、もう一度見たくなってきた。

  • 2017/09/06 20:00
  • シアターZOO
  • 約1時間30分

text by 小針幸弘

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