前から10列以内かつ通路側、という席は、普通の演劇作品なら「超快適な席」の一つだと思う。が、今回は悲しいくらい裏目に出た。
日本のパフォーマンス集団「enra(エンラ)」は、ライブパフォーマンスと映像を融合した作品を得意とする。ダンスやバレエ、ジャグリングなどのパフォーマーがステージ上で踊ったり動いたりすると、その指先や足先の軌跡が映像となって投影される。動きと映像がシンクロする時のダイナミックさは、他の舞台ではなかなか味わえない。
…とはいえ、ここまでは、ステージを真っ正面から捉えた定点で撮影された映像を観た感想だ(Youtubeに上がってます)。
今回、全国ツアーで見せている「VOYAGER」は、観客を映像とパフォーマンスで宇宙旅行へいざなう内容。しかし、私が座った下手ブロック通路側からはパフォーマーが斜めから見え、しかも後ろのスクリーンにしっかり影が映った。そのため、映像と人の動きがずれて、enraの持ち味のカッコ良さが全く伝わらない。約90分の間、キレッキレのバレエダンサーの動きや、ディアボロ(中国ゴマ)のすごい技を、ただただ眺めて終わってしまった。
たしかに、上手・下手の端に観客は座っていなかった。が、客席は中央ブロックだけにしておけば良かったのでは?という思いが消えない。世界的にも認められているグループの公演だけに、後悔が残った。
とはいえ、本日も札幌公演がある様子。昨日の客入りからすると、チケットはまだ残っていると思われる。観に行こうと思った人は、なるべく中央の席を確保するのをオススメしたい。
・9月13日、19時、道新ホール
text by マサコさん