笑の内閣「名誉男性鈴子」をシアターZOOにて。面白かった!主に性差別をネタにしたコメディで、あったら嫌な、そして残念なことに実際によくあるという、あるあるネタの集合みたいな面もある。観て、変わりようがないなら笑い飛ばしてしまえという諦念を感じるのは、まあ自分に原因があるんだよな。
役者さんはみな達者。公開稽古の時に飛び出したジャンピング・ニー・パッドが出るかもと思ったけど、さすがに無し。市長の威圧感のある品の無さ、相手が逆らってきたときに見せる微妙な表情の変化が妙に頭に残る。吠える鈴子も面白かった。みんなどこかにいそうな感じ。
小ネタは探せばいくらでも出てきそうなほど盛り込んである。もちろん、それがわからなくても、メインの内容だけで面白いんだけど。昔の言い方だと、一粒で二度美味しいというやつ。パンフレットに書かれているのを読んで初めて気がついたのもあった。地図もよく作ったなぁ。
舞台は岡山で、仕事で1年だけ津山市にいた自分にとって微妙に身近な土地。観ていて、1年間に近くのコンビニが2軒潰れたなとか、朝方に道端で車を待っていたら、そこが小学校の通学路で、小学生が次々と挨拶をしてきて往生したなとか思い出してしまった。
面白いのに時期が悪かったらしく集客に苦戦している模様。撤退(転進?)の公約があるみたいだけど、なんとかクリアして欲しい。またクリアできなくても、ダンケルクからの撤退の後のノルマンディ上陸(その前にディエップがあるが)のように復活公演をお願いしたいところ。
- 2017/09/23 19:00
- シアターZOO
- 約1時間40分
笑の内閣「名誉男性鈴子」をシアターZOOにて。2回目。流れも小ネタも(きっとろんどんの部分以外は)わかっているけど、やっぱり面白かった。ずっと笑わせておいて、最後にやり切れなさを見せ、少し考えてみたくなる話。元ネタ探しもそうだけど、自分がどの人物に近いかも、考えてみるといいかも。
この作品の中で明確に描かれている差別的な言動は酷すぎて笑ってしまうのだけど、小さいレベルや自分が差別だと思っていない事柄については、無自覚にやってしまっているんだろう。観終わってから、自分はあんな酷くないと胸を張って言える自信はまったくありません。
自分がどの人物に近いかと考えてみると、須藤市議が近いかもしれない。差別的な言動も同調もしないけど差別をする人に反対もしないという、自分は間違った立場には立っていないと言い訳をしながら、事なかれ主義で行くあたりは同じ。須藤市議は選挙対策かもしれないけど。
須藤市議の政治的な能力はほぼ描かれていないけど、施設職員が政治家は云々と話す場面で、「お説ごもっともです」と言わんばかりに頭を下げているのを見て、まともなんじゃないかと思えてしまった。もしかしたらと思わせるだけの誠実さを装っているだけとしても、まだまし。
ただ笑って観るだけでも十二分にお値段以上の価値があるけど、この中に自分がいたらと考えてみるのも一興。自分が入った場合に事態がどう転ぶのか。あの面子に対抗できると思えるのは、よほどの剛の者だと思うけど。
また観たいなぁ。
- 2017/09/24 11:00
text by 小針幸弘