【特別寄稿】第67回高文連石狩支部高校演劇発表会を終えて 寄稿者:森本繁樹

10月2日(火)から札幌市教育文化会館で開催された第67回高文連石狩支部高校演劇発表会は、6日間38校の上演と、8日(日)北方圏学術情報センターポルトにおける合評会・閉会式をもって終了しました。
この大会で選出された6校が、11月17日(金)~20日(日)に苫小牧市民会館で行われる「第67回全道高等学校演劇発表大会」に出場し、さらに選ばれると、3月に神奈川県横浜市で開催される「第12回春季全国高等学校演劇研究大会」と8月に長野県上田市で開催される「第64回全国高等学校演劇大会」に出場します。

今回選ばれた6校の作品は、次の通りでした。

昭和16年と昭和52年の新聞部の活動について、現代の高校生が残された活動記録を読んで、表現の自由という問題を追体験する「狼少年はここにいる」(札幌山の手)。

2015年に全国大会で最優秀を受賞した不登校問題を扱った作品をリメイクしたアンパンマンの歌が印象的な「うさみくんちのお姉さん」(札幌啓北商業)。

卒業式前日の教室に夏から不登校だった女生徒が現れて、友人たちとの関わりからこれからの生き方に向けて前向きな姿勢を取り戻す「春の光」(大麻)。

二人しかいない合唱部で、生徒会役員の友人がお弁当作りを頼まれて、一緒にそれを考えていく中で、文化祭での発表に前向きに向かおうとする「歌とお弁当と私」(札幌西)。

漫画家を目指す妹とそれを支えて肉体労働に励む、ドラえもんのジャイアンとジャイ子の将来のような世界を深い兄妹愛で描いた「キリン・Gペン・スケッチブック」(札幌北斗)。

人口減少に悩む村の行事を通じて、諦めかけた夢を実現しようとする主人公の姿を、圧倒的な人数の役者で巧みに演じた「ひと夏のかぐや姫」(札幌藻岩)。

この他にも、北海道の歴史のひとコマを丁寧に描いた作品、今を生きる自分たちの姿を等身大の演技で描いた作品、LGBTについて深く学んだ事から生まれた作品等々、バラエティーに富んだ内容でした。
この大会は、全国的に見て上演校数が多いのはもちろんですが、通常なら別組織の大会に出場する、定時制高校や養護学校高等部が、同じ大会の中で、自分たちの抱える問題を力強く演じるすばらしい舞台を観せてくれることも大きな特色です。

来年も、同じ時期に同じ教育文化会館で大会が開催されます。ぜひ一度足を運んで、高校生の演劇活動の熱気を感じていただければ幸いです。

寄稿者:森本 繁樹
元全国高等学校演劇協議会副事務局長 神奈川県立平塚商業高等学校演劇部顧問

text by ゲスト投稿

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