さよなら、札幌オーギリング。──札幌オーギリング休止興行『ラストアンサー』

たぶん僕は、「笑える芝居」はもちろん、「お笑いライブ」と比べても「オーギリング」を観た時にいちばん声を出して笑っています。それは、個々の選手の「追いつめられた真剣さ」が伝わってくるからだと思います。もちろん選手たちはウケ(ポイント)を狙った回答を繰り出してくるのですが、その頭のフル回転さが、時として「ウケ狙い」という邪念を越えて、その人の本質を引き出していると感じます。

特に、「待ったなし」の個人戦にその傾向が顕著で、タッグマッチや団体戦も楽しいけど、個人的にはやはりシングルマッチこそがオーギリングならではの醍醐味だと思います。1対1の闘いは誰の助けも得られない。時にレフリーや実況や解説者がフォローになる時はあるにせよ、相手との実力差がある場合は繕いようもなく残酷なまでに如実に勝敗が決する。その日のコンディションや、回答の流れと言った運が味方する時もあるけど、選手には笑いのセンスだけでなく、知力や博識さ、語彙や、客席を読む力も求められるのだと思います。
かなり久しぶりに観戦した『ラストアンサー』。選手の相関図や軍団の構成なども変遷しており、アウェイ感があるかもと心配していたがそれは杞憂でした。むしろ「ああ、やはりオーギリングは楽しい」という安堵感に包まれたあっという間の2時間でした。

GM上田龍成さんの「本業」でもある映像はビジュアル的な完成度が高いばかりでなく、3年6カ月という激闘を積み重ねた分コンテンツも豊富。レフリーや実況・解説も、お互いの関係性や距離感が長い時を経て構築されており、プロレススタイルの踏襲にとどまらず、オーギリング実況としての成熟度を重ねている(というのは、きっと久々に観戦したからこそ感じられた部分でもあったと思います。)
帰りにパンフレットを購入。プロレス週刊誌風に作られたそれはオーギリングが始まった当初から毎回売られているものですが、ページレイアウトなどのクオリティも3年6カ月の進化を感じるものでした。

GMの上田龍成さんは「ウエイビジョン」の代表としてイベントの企画・運営や演劇など数多の活動を行い、演劇ユニット「星くずロンリネス」としては、教文短編演劇祭での優勝や全国大会へのエントリーなどここ数年の活躍も目覚ましいですが、長編の演劇作品からは少し遠ざかっているというか、物理的に時間がとれなかったというのが実情なのだと思います。オーギリング休止によってここから演劇作品に傾倒するターンに入ることにも期待していますが、また、休止あけの「リング上の闘いの日々」がやってくることも楽しみにしています。

(2017年11月2日20:00〜 演劇専用小劇場BLOCHにて初日を観戦)

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札幌オーギリング 休止興行『ラストアンサー』

札幌の大喜利ファイターが集結!
ストーリーのある大喜利対決のみのお笑いライブ!
遂に、3年5カ月の歴史に幕を下ろす休止前ラスト興行!七代目王者すえひろと挑戦者三上翔の王座戦の他、菊池アルト組とマッスルカルチャーズのタッグ王座戦など休止興行に相応しいカード満載!

2017年 11月2日(木)【休止興行 初日】20:00
11月3日(金・祝)【ドリームマッチ】14:00【休止興行二日目】19:00

<出場予定選手>
楽太郎/三上 翔/澤田へそ太郎/ぞえちゃん/GJ
鈴木/ヤギハツマ/遠藤雷太/安藤友樹/戸田耕陽 / ゼニャ
菊池旭/小原アルト/及川広大/山本輔/佐々木さん/小林つばさ
すえひろ/ノリス・イシハラ/ミラノ風ヤマダ/ガイアドラグーン?世/
ドン・サトシーノ
喰魔骸/閻主/夜宵/魔鎖檎
アキト/長万部さとうくん ほか
<進行>
市場ひびき/氏次啓/横澤章悟/コタロー。/盛合でぇすけ/鶴 / 上田龍成

【物語のある大喜利対戦ライブ – 札幌オーギリングとは】
大喜利とは「お題に対して面白く答える演目」
その大喜利を対戦形式にし、マイクアピールなどを通して、長期的な物語が生まれるイベント。
クロスワードの表に対して穴埋めで大喜利に答えていくクロスワード式形式などの変則的な大喜利対戦と
ベルト争い、軍団抗争、世代闘争など、プロレス的な様々なストーリーが絡み合う!
札幌で活動する芸人や役者の他、ミュージシャンや漫画家、ラジオパーソナリティーなどが続々参戦!
長期的なストーリーでも、試合前の煽り映像や実況解説が入るので、物語が丸わかり!

text by 九十八坊(orb)

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