追い詰められた生活 座・れら『アンネの日記』

座・れら「アンネの日記」をやまびこ座にて。しっかり作り込まれた隠れ家のセットとピアノとチェロの演奏。それらを舞台に繰り広げられる隠れ家生活は、悲惨な部分を直接描写しないけど、追い詰められていく様がありあり。それでも明るいものを感じるのは、アンネの目から見た世界だからなんだろう。
窮乏し自分を抑えられなくなり、自分勝手な行動に走ったり、他人を非難したりするのは、あの状況だからと思ってしまうけど、程度の差はあるけど普段の自分もやっている事。舞台では状況により、それが強調されてしまっているだけ。人の心は、美しいくもあるが醜くもある。
くすんだ隠れ家生活の中で、明るさを失わない事を表すように、アンネの衣装は常に赤ベース。開始直後の子どもっぽい言動から終盤の成長した姿まで、パニックを起こすことはあっても、常に前向きで明るい姿が希望となる。ただ、悲劇的な終わりは変えられないのだけど。
破滅に向かって行く話なのに耐えられるのは、アンネ役の方の明るさと父親の良識がぶれなかった事に希望を見い出せたからかもしれない。祖母と孫も日記の紹介に留め、変に日記の感想を語ったりしないのも、感想は観客が考えろと言われているようで、観ていて気持ちよかった。

  • 2017/11/04 11:00
  • やまびこ座
  • 約2時間35分(途中休憩10分含む)

text by 小針幸弘

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