甘酸っぱい青いロマンス さっぽろ学生演劇祭『ブルー!ロマンス・ブルー!』

さっぽろ学生演劇祭の観劇は初めて。降雪で交通機関が遅れ、上演時間ギリギリに会場に駆け込んだ。

ギリシャ神話の神々も人間も、恋に翻弄されて大変、というお話。女神が人に恋をし、その女神に恋する神が嫉妬にもだえたり。愛の神のお仕事として日本でカップルを成立させようと、現代の若者の合コンに干渉したり。それを、女神の恋人に横恋慕(?)する他の女神が、手下の神々を使って妨害(?)したり。ただでさえ多感な若者たちは、神の干渉を受けてモテも非モテも右往左往。…すみません、ストーリーの把握はちょっとむずかしかったので、詳しくは熊喰人さんの感想をお読みください。

恋したり恋を求めたりする神と人。いずれも恋するための衝動の蓄えが身体中に行き渡っている年齢の振る舞いに見える。ああ、甘酸っぱい青いロマンス。

「しのぶれど色に出でにけりわが恋はものや思ふと人の問ふまで」という平兼盛の歌が何度も登場して場面を盛り上げる。この仕掛は楽しい。だけど「しのぶれどー」は忍ぶ恋の歌。秘めて隠していたのに私のそれとない態度から人がそうと問うほどになった…という意味で、ちょっと合わないシーンもあるような。でも、それほどに込み上げるパッションよ、という意味ではピッタリなのかな。

大学生の演劇を観ること自体が初めてなのだが、「うまいなぁ」と思う役者がそれなりに揃っていて、場面場面を引っ張っていた。さすが近隣大学演劇のオールスター出演。特にアポロンの、軽やかさと動きの広さが素敵だった。衣装も工夫されていて華やかだった。ここから札幌演劇を支える未来のスター、未来のユニットが登場するのかな。
 
 
2017年11月19日14時 サンピアザ劇場にて観劇

text by 瞑想子

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