●札幌啓北商業「うさみくんのお姉ちゃん」 既成
2015年のびわこ総文で最優秀を受賞した大分豊府の作品。女子と話すと腹痛を起こす男子が、同級生の〝アンパンマン似〟のお姉ちゃんに励まされて…という、放課後の出来事を描く話。
2015年、彦根入りが遅れたせいで生で観ることはかなわなかったけれど、その後に「青春舞台」で大分豊府の上演を観た。個人的には札幌啓北商業の方が好き。どーんと構えたお姉ちゃんと、ひょろっとした溝呂木くんの取り合わせに好感を持った。あらためて思ったのだけど、宇佐美姉弟の母の不在について説明はない。だからなのか、姉弟間でやり取りされる「洗濯がー」「夕飯作ってー」というせりふに何だか切なさを感じてしまう。その点も札幌啓北商業の方が大分豊府よりも強かったように思う。
キャラクターが魅力的でも脚本がテンポが良くても、数年前の既成では全国行きは難しいんだろうなぁ。ところで、青春舞台でも思ったのだが、お姉ちゃんの恋バナに先生が介入してくるのが不思議。あの場面で一気に現実感が薄れてしまうと思うのだけど。
●登別明日中等教育学校 「コイカツ!」 既成
トンカツ屋を営む母を持つ女子高生が、進路や恋愛などに向き合う様子を、コメディーを交えて描く作品。探し切れなかったのだけど、既成脚本らしい。かなりテンポが良くて、会場も笑っていたと思う。
(トンカツの)油くさいからと、首からファブリースをぶら下げている克子と、底抜けに明るい(ように見える)母・克江のキャラクターがいい。家の場面になる前、舞台奥上手からちゃぶ台を抱えてダッシュしてくる克江の姿に何度笑ったことか。惜しいのはマイム。動きを止める、高さをキープするなどと細かな部分に注意を向けていたと思うけれど、雑になる場面もチラホラ。個人的には早口なせりふ回しや、早足ではけるとか、スピーディーな場転が大好き。だけど、あの大きさのホールで、せりふをきちんと聞き取れるかなと考えると…。ちょっと難しいかもしれない。
続く
text by マサコさん