【特別寄稿】TGR札幌劇場祭2017を終えて  寄稿者:小佐部明広

 
12月5日、TGR札幌劇場祭2017の表彰式が行われた。TGRというのは「今、一番面白い舞台を決める。」というコンセプトのもと、11月中に様々な舞台が上演されその中から大賞を選ぶものだ。

今年新たに「俳優賞」が新設された。小劇場の舞台作品で公に評価されるのはだいたい演出家や脚本家なので、このように俳優に対して賞を与えることはいいことだと思うし、俳優のやる気にもつながると思う。誰がノミネートされたかも公開されると、自分が惜しかったのかどうかもわかるのでいいんじゃないかと思う。

また、去年までは公開審査会を開いており、各作品の講評やノミネート作品についての議論や投票があった。どの団体の人間もひとまず自分たちの作品についてコメントをもらえていた。だが、今年はそれがなくなったので、受賞団体以外はほとんどなにも触れられずに表彰式が終わって、それは悲しいなと思った。(その後開かれる交流会できけばいいのかもしれないが……。)

個人的なことを言うと、僕は今年はプロト・パスプアという団体で出場して「特別賞」をいただいた。僕自身はTGRには8回目の参加で、TGR2011での新人賞以降はずっと受賞を逃してきた。自分が好きな作品をつくってそれが評価されたということは素直に嬉しい。来年は大賞と俳優賞を狙いたいと思っている。

以前は、このTGR札幌劇場祭が一番盛り上がる演劇の行事だったと思う。多くの団体がTGRに照準を合わせて、本気の作品を上演していたように感じていた。だが、2012年に「札幌演劇シーズン」が始まって、少しずつ演劇人たちがそちらに力を入れ始めてきたような印象を受ける。TGRに不参加の団体も増えてきたように感じるし、TGR全体の動員数も減ってきているような印象を受けている。

それでもTGRは賞レース。大賞を獲るために各団体が競うのはいいことだと思っている。来年はもっといろんな団体が出場して本気の作品を出して、盛り上がっていくといいと思う。(劇場が出る団体を選別してもいいと思う。)

さて、僕も来年の11月にむけてまた1年勉強して力をつけていこうと思う。

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寄稿者:小佐部明広
プロト・パスプア ディレクター
※ proto Paspoor#1『ある映画の話』 TGR札幌劇場祭2017 特別賞を受賞

text by ゲスト投稿

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