コンカリーニョプロデュース「鰤がどーん!」をコンカリーニョにて。同じ脚本を中高生と大人が別の演出家で芝居にするという企画。見比べればわかるけど、同じ話なのに見せ方が全然違う。短期間に同じ話を別の演出で観るというのは、なかなかない機会なので楽しみな企画です。来年もあるといいな。
(中高生チーム)
中高生チームは人数が多い(22人学級だった)事もあって、出てくる人数に変化をつけたり、最初の劇中劇の場面で観客がいたりして、不定形な感じもするけど、全体的には直球勝負の印象。吟遊詩人(表記が正しいかは不明)も面白かった。
主演の方は、主演を任されるだけの事はあるという好演。他の人たちは、吟遊詩人のインパクトが強くて、印象が薄くなっているけど、あれっと思うような人はいなかった。全体的に上手くまとまっているという感じがします。
このチームの吟遊詩人は、MCが3人のヒップホップユニット。最初に出てきた時は何だこれと思ったけど、慣れるとクセになりそう。物語の作りの制約からか最後は普通の歌になってしまったのが少し残念。全部ラップというのは難しいか。
震災に関する部分は、最初は匂わす程度で明示はしていない。最後にふとした事で思い出し悲しみを感じるというのは、それだけの時間が経ったという事なんだろう。大人の6年半と中高生のそれとは重みが違うけど、彼らはどう感じていたんだろう。
- 2017/12/24 14:30
- コンカリーニョ
- 約1時間40分
(大人チーム)
どこまでが脚本・演出で、どこからがアドリブかわからない芝居。カニの話のところは、最初はカツラが落ちたのが偶然に見えたけど、シーンが進むにつれ意図的にやっていたんだと思えるし。それが全て面白くする方向に向いていたのはさすが。
主演の澤田さんは、せえらあ服で全編通していた。高校生の時の出来事を振り切れていないという事なんだろうか。玉手箱のネタでおばあちゃん化した時に、腰を大きく曲げるでもなく、ちょっとした仕草と喋り方でやってのけたのは、さすがの貫禄。
吟遊詩人はフォークシンガーといったあたりか。一人で中高生チーム3人分のインパクトがある出で立ち。他に審査員とかカニとかもやっているので、あの人がこんな格好で、という芝居を観るうえでのお約束を無視したような楽しみ方もできてしまう。
震災を含め、とにかくわかりやすくと作られたように見えるこの作品。詳しい人の優しい解説付きで観ているような感覚でした。中高生チームの近くでの観劇でしたが、その楽しそうな姿に、一番伝えたい人たちにしっかり伝わっているんだと感じました。
- 2017/12/24 18;00
- コンカリーニョ
- 約1時間55分
text by 小針幸弘