基調講演で札幌演劇の展開を紹介 寄稿者:平田修二

2017年12月1日・2日に開催された「全国小劇場ネットワーク会議in 沖縄」において、「民間による公共~札幌の歩み」というテーマで基調講演をさせていただきました(興味ある方にはレジメを送りますからご連絡ください)。

全国で活躍するそうそうたる小劇場関係者約50名が集い、札幌からはボク以外に、イナダヒロシさん、小島達子さん、閔鎭京さん、すがの公さん、小室明子さん、藤谷真由美さんが参加しました。

この会議を準備してくれた公益財団法人沖縄県文化振興会チーフプログラムオフィサーの野村政之さんが「自分たちが暮らしている場所を中心に置いて、そこから発想する姿勢」とボクの講演についてまとめてくださいましたが、この姿勢を見つめることで新しいムーブメントが各地で起こることを予感させる会議でした。

野村政之さん、主催されたおきなわ芸術文化の箱の皆さんに感謝です。そのあと、いくつかの作業グループが出来て今後の展開を相談している様子からは、新しい潮流が期待されました。

さて、ボクと沖縄の交流は永いです。東京の劇団で演劇プロデューサーをしていたころからお付き合いがあった下山久さんが沖縄に移住して演劇活動を始められ、交流が始まりました。

北海道演劇財団が運営する劇団である札幌座(当時はTPS)は、2001年に『冬のバイエル』、2004年に『若草物語』、2008年に『春の夜想曲』を沖縄で公演。2001年にあしびなー歌舞団をシアターZOOにオープニング公演として迎えました。

その後、野村政之さんたちが札幌を訪れてくれた2015年以降のことは氏の文章をお読みいただきたいのですが、一つだけ追加。2016年に沖縄に移住したすがの公君(ハムプロ)に頼まれて、2017年3月沖縄に行き、すがの君を下山さん、野村さん、おきなわ芸術文化の箱の皆さんに紹介したのです。その時は、今回『9人の迷える沖縄人(うちなーんちゅ)』を公演した銘苅ベースという劇場はまだ稽古場でした。そこで、今回のネットワーク会議を12月にしようと決まり、半年の間に稽古場は劇場になったのですが、すがの君も壁を塗ったりして劇場づくりに参加したとのことです。

これまで沖縄に行った時は、浜辺や植物園や離島でぼんやりしたり、島唄ライブ、民謡酒場、エイサー大会を見たり、首里城、今帰仁城跡、斎場御嶽、原人遺跡などを廻ったりしています。米軍基地を丘から眺めたり、嘉手納基地ゲート前の米兵が行くバーでお酒を飲むのも刺激的です。やちむん通りでシーサーを見るのも好きです。沖縄では行くたびに発見があります。同じ日本語で通じるのに、ボクが寄って立ってきた文化の根っことずいぶんと異なるからです。

40年前、内地(当時北海道人は本州以南の日本をこう呼んでいました)とはまったく異なる歴史背景を持つ北海道へ移住した時、これはアメリカとヨーロッパほど違うなと感じたことを思い出します。北海道では歴史が手に届くところにあったのです。

これまで、札幌と韓国、札幌とサハリンの演劇交流を続けて来ましたが、沖縄と札幌の交流は、本土、内地を超えて、これらに匹敵する実を結ぶかもしれません。

寄稿者:平田修二
演劇プロデューサー/演劇創造都市札幌プロジェクト副代表

text by ゲスト投稿

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