昨年のTGR2017をほぼ観ていないのと、BLOCH和田さんの話をあれだけ聞いたので、新人賞を受賞した劇団plus+の『姉妹、一肌脱ぎますッ!』を観た。新人賞の大本命だったというきっとろんどんも観ていないため、安易な比較はできないが、この作品はこの作品で、新人賞はアリだと思った。
貧乏な家で育ち、借金を返すために必死で貯めてきたお金を「ラスベガスで倍にしてくるわ!」と両親に奪われた、一卵性の双子の姉妹が主人公。借金返済の期日が迫る中、19歳で処女(←ものすごく強調していた)の2人は、「男をだましてお金をゲットする」と息巻くが-。というのが、簡単なあらすじ(間違っていたらごめんなさい)。
いろいろと雑で突っ込みどころも満載だけど、なーんだか目が離せない作品だった。それは、作演出で劇団代表の森田真莉菜の意気込みというか、作品に真剣に向き合っている姿勢というか、そういう本気度が作品全体から感じられたからかもしれない。それと、人の出入りとか展開は速いけれど、場面がきちんと起承転結として並んでいたから、物語は追いやすい。ただ、全体的にドタバタ度が高く、それを90分間観続けるのをつらいと思う人もいるかもしれない。
ただただ、個人的に「う~ん」と思ったのが、チサトとミサトが陥れようとしたけれど結果、初めて恋をする相手とその設定だ。「これまで優しくされたことのない19歳の処女」と前半で強調していたけれど、それでも何だか納得できなかった(もっと個人的な思いを書くと、男子2人のTシャツに映る腹のタプタプさから、「19歳の処女」は優しければそれでいいのか!と思ったのである)。観客が「19歳の処女が初めてほれてしまうのは、こんな男子だからだよね」と納得できるような設定がほしいところ。タイキ、リョウ各役の役者を責めているのではなくて、もっと前の設定づくりの部分から、舞台の全体像を想像できていたら、二段階くらい上に行っていたかもしれない(この人、実は闇金、と言われた男子が茶髪でちょっとチャラいカッコしてて、なーんだ、そのまんまじゃん予想通りじゃん、って何の驚きもなかった私)。
泣かせるとか、泣けるとか、ぐっとくるとか、そういう作品に辟易している中、今後のplus+の、森田真莉菜の作品は面白くなりそうだと感じた。個人的には、OL3人の給湯室でのどうでもいい話が延々続くとか、場転なしで会話でつないでいくような、面白い脚本を書いて勝負してほしいと願う。
劇中、森田さんは「かわいい」扱いをほぼされないが、いやいやかわいい人でしょ、と反論したい。
2018年1月22日 札幌・BLOCH
text by マサコさん