抑圧されたものからの問いかけ ホエイ『珈琲法要』

ホエイ「珈琲法要」をシアターZOOにて。津軽藩士殉難事件を題材としたTGR大賞受賞作。時間があればコーヒーを飲んでから行きたかったけど、ギリギリだったのでなし。笑って観ていられる前半と壮絶な後半、そして簡単には答えの出せない問いかけ。辛くて隠蔽された事件だけに、やはり後味は苦い。
前半の中学生男子みたいな掛け合いは、バカだねぇなどと思いながら、笑って観ていられるけど、考えてみれば空元気みたいなものなんですよね。裏では仲間の命がどんどん失われていき、自分たちも明日をもしれない状態なわけだから。暗い話の中の救いの部分でした。
津軽藩士からはアイヌの女性を完全に見下しているけど、地域の情報や生活の知恵の類は本来なら彼女たちに頼らなければいけない部分。あんな扱いなら協力は望めないよなと納得がいくものでした。表面上友好的に見えても、抑圧された側がどんな怨念を持っているかという想像の欠如。
都合の悪い事は隠蔽するという結末には今も昔も変わらないなという感想しか出ない。最後の問いかけは、時代によって違いそう。当時ならどこまでもと答える人がいてもおかしくないけど、今の縮小傾向だと、どこにも行かないと言う答えが多そう。消極的な覚悟でもあるけど。

  • 2018/01/27 14:00
  • シアターZOO
  • 約1時間20分
公演日:

text by 小針幸弘

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