TGR受賞作品という事でとても話題となっていたホエイさんの「珈琲法要」。
今から200年前の「蝦夷地」と呼ばれていた頃の北海道が舞台。登場人物は3人(津軽藩兵2人と、世話係のアイヌの女性)だけで、セリフはすべて津軽弁で進んでいくので芝居だけでは舞台背景は掴みにくいのですが、パンフレットの裏に手書きの地図などで説明されていたので、最初からすんなり物語に入り込むことができました。
暗転からアイヌ楽器の音色が聞こえてきて物語はスタート。男二人の掛け合いが始まってからはクスクスと笑える場面も多かったのですが、それは寒さと栄養失調と病で次々と倒れていく仲間達をなすすべもなく見送る二人の、現実逃避のようでもありました。お皿を叩きながら死者の名前を読み上げてくシーンはリズムを感じさせるが、名前を読む事に辛い現実を受け止めるように見えた。
段々と弱っていく自分たちを見ないようにし、でもまだ続くんだと気づいている。──そんな二人の姿に、次々と客は飲み込まれていました。
前の方の席にいたので、珈琲をすり潰すシーンでは珈琲豆のいい匂いがしました。
女性が歌うアイヌの子守唄がとても気持ちよかったのですが、歌いながら男の首を絞めるシーンで寒気がしました。役者さん達の隙のない芝居は稽古量を慮られました。
私も詳しい方ではありませんが、皆、昔に歴史の教科書で名前を見た事がある程度ではないでしょうか。
最近は段々と北海道の歴史や文化を舞台にした作品が多くなってきている気がしますので、とてもいい事だと私は思います。珈琲はまだ飲めないので珈琲ゼリーを食べようと思います。
1月30日19時 シアターZOO
投稿者:N.atuki(10代)
text by 招待企画ゲスト