地下の劇場に吹き荒れる猛吹雪の凄まじさ 札幌座『暴雪圏』

札幌座『暴雪圏』の初日を観劇した。
おそらく日を追うごとに、進化していることだろうから、私の感想はあくまでも初期段階のものである。
原作のあるものは読んでから観るか、観てから読むか迷うところ。今回は読んでから観て正解だった。
彼岸荒れに閉ざされる一夜の出来事。たった一晩のことではあるが、長編小説一冊分に詰まった人間模様がどのように表現されるかが楽しみだった。

目まぐるしく息をつかせぬ場面転換の連続で決して少なくない登場人物のそれぞれの事情が明かされ、一つの場所に集約していく。展開がわかっていても、裏読み出来る分、かえってドキドキハラハラ感が高まった!
そして、黒いステージを埋め尽くす白い雪、雪、雪、雪!!
猛吹雪の強風で押し返される怖さや、真っ暗になっても地面のぼーっと白く浮き上がる闇の中の雪あかりがリアル。
100分が、あっという間だった。

少々残念だったのは、逃走中の犯人と巻き込まれた女性との会話など、犯人の思惑のために、会話がすれ違っていく部分で、笑いが漏れたこと。確かに、言葉の食い違い方はナンセンスなコントのようでもあったが、小さな密室である車の中で見知らぬ男との話が食い違えば食い違うほど、恐ろしい場面だったのに。この辺りは、公演終盤ではどんな様子なのだろう。

それにしても。
原作の西田は胃痛持ちで要領よさそうでもないのに、窮鼠噛猫的な大胆さがボンと出て、この人このあと大丈夫なのか……とわたし的不安No.1キャラなのだが、札幌座の西田は、この人なら大丈夫だべさ、わはは、であった(笑)。彼なら、ちゃっかり生き延びてしまうのだろうな。

2018年2月14日 19:00 シアターZOO

投稿者:わたなべひろみ(ひよひよ)

text by わたなべひろみ(ひよひよ)

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