観るだけでスカッと爽快! コンカリーニョ・プロデュース『ちゃっかり八兵衛』

札幌演劇シーズン2018 冬のラストの作品が「ちゃっかり八兵衛」
大トリを飾るにふさわしい、思いっきり楽しめる作品だった。

時代劇好きとしては、時代劇コメディなんてうたい文句がついていると、時代モノの体裁をとったドタバタ劇的なものに陥ってしまわないものかと危惧するところもあったが、見事に裏切られた。良い意味で。

元禄の有名人がてんこ盛りで出てくるが、すべてきちんと歴史の裏付けのあるもの。
ベースをきっちり詰めた上に、これでもかと笑いの要素を盛り込まれている。
笑いにしても、エピソードにしてもこれは定番だな、こうくるだろうなと思う通りに出てくるものも多いのに、素直に笑わせてくれる。予定調和を感じさせないのは、やはり役者さんたちの上手さなのだろう。定番の笑いをキメるのって一番難しいと思う。照れがみえたり、わざとらしさが感じられると、途端に白けてしまう。そこを振り切った演技でドヤ! と見せられると、わかっちゃいても、気持ちよく笑える。
江戸っ子の発音もばっちり、「ひ」が「し」になっていたし、かと思うと、顎クイに壁ドン(笑)。襖や障子の開け閉めを駆使したスピード感に、観ているこちらも駆け抜けているような気分になる。

ベースのきっちり感は所作の美しさにも現れていた。栄田さんの手・指先の動かし方、身体のねじりが絶妙。男性陣も、ムチャクチャやってるようで、基本の動き……座るときの仕草や礼の仕方などが良いから、見た目バラつかない。場面が締まる。

そして、全体に流れる、落語リスペクト! が良かった。小判を数えるときにちゃちゃ入れるのがよい。得も損もしないんだが(笑)。オチも心得てらっしゃる。お見事!!

ああ、面白かった!と、心の垢がすっかり落とせたすっきり感。最後に酌み交わされた熱燗を見てたら、呑みたくなって、帰り道、きゅっと一杯ひっかけて帰った。

2018年2月21日 19:00  於コンカリーニョ

投稿者:わたなべひろみ(ひよひよ)

text by わたなべひろみ(ひよひよ)

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