極寒の地の熱いドラマ 札幌座『暴雪圏』

私は、寒いのが嫌いだ。

寒いだけでなく、雪なんて降った日には、大体機嫌が悪くなる。

「暴雪圏」・・・耳にしただけでちょっと気温が下がりそうなタイトル。

しかも、訳ありの男女が1つの場所に集い、身動きも取れず、そこで何かが起こる。

何となく重たそうだ。直感的に、「救われない結末」的なものを予測した・・・が、観劇後には、「すっきりした!」と爽快感を覚える。

気が付けば、悪しき考えを抱く者は倒れ、その他の者は少なくとも最悪の結末になることは避けられた。

場面転換が次々にやって来るけれど、かえって間延びせずにストーリーが展開していった。

それぞれの配役も、ぴったりとハマっていたように思える。

磯貝圭子さんのチャーミングさ、山野久治さんの温厚な人柄が、舞台全体の雰囲気を良くしてくれた。シリアスな場面でも、笑いの要素が入れ込まれていたのも好感があった。

肝心な時に色んな物をペンションのあちこちに置いてしまっているマスターには、本当にひやひやした。

訳あり主婦明美のバックグラウンドについて、もっと知りたくなったが(最初の電話の相手は誰なのか、出会い系サイトに手を出して変な男と関係を持つような動機は何なのか、など。)、土壇場で見せた、彼女の図太さ・度胸・自己犠牲の精神が見えた後は、かえって彼女の背景が詳細に語られない方が良かったと感じた。

北海道に生まれ育った者として、特に雪が全ての生活機能を失わせるくらい脅威になることは、よく分かっていた。

だからこそ、場面設定(ライフラインが途絶え、誰もが行き場のない状況に追い込まれる。)もすんなりと入ってきた。

そういった「地元」感覚がない人がこの舞台を見たら、どんな感想を抱くのだろう?と聞いてみたくなった。

余談だが、観劇後の私のバッグには猛吹雪の名残りがあって、週明けに出先で出した仕事用ファイルから紙吹雪が出て来た時は、笑った。

2月18日 シアターZOO

投稿者:ぷにょ(30代)

text by 招待企画ゲスト

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