帰ってきた! 演劇集団-遊罠坊『培養魚』

演劇集団-遊罠坊「培養魚」をBLOCHにて。まさに遊罠坊といった作品。日常と思える状況が提示され、その中で行われる違和感を演劇的な演出として理解して見ていると、気がつくといつのまにか予想とは全く違った状況を見ている。足元がグラグラと揺さぶられるような感覚で、これが癖になるんですよね。
妻役の人の自分が愛する人以外に向ける凶暴性が、ほとんど表情を変えずに繰り出されるので、これも一つの狂気だなぁなどと感じる。コメディ的なシチュエーションもあったように思えるけど、怖いものがありました。笑いが出るとしたら、恐怖から出る笑いになりそう。
劇中で出てくる様々な狂気。本人は正しいと思っていても、周りから見るとどこかがおかしい。おそらく自分もそういう部分があるんだろうななどと考えてしまう。自分自身で認識はできないのだろうけど。終わってみれば、劇中人物に感じたことが自分に跳ね返ってくる感覚が。
ラストが近づくにつれて判ってくる事実や関係性。そしてそれにつれて高まる緊張感はたまらないものがある。ハッピーエンドとは間違っても言えないし、ラストシーンの後を想像すると暗澹たる思いを抱くけど。最後の凍りつくような雰囲気は素晴らしかった。

  • 2018/02/23 20:00
  • BLOCH
  • 約1時間30分
公演日:

text by 小針幸弘

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