デンコラ「カネキリ」をよりiどこオノベカにて。入場すると、既に役者陣がスタンバイ状態。憂鬱そうだったり、戸惑っている風だったり、これから始まる話への期待が膨らむ。話は推理小説でよくある状態が舞台。ただ、犯人当てではなく、終わってみれば被害者への別の感情が呼び起こされる作り。
話の中で少し気になったのは、誰も死因について触れないこと。犯人当てではないので本筋ではないのだろうけど、誰が犯人か疑心暗鬼になっているなら、死因が〇〇だから誰々が怪しいみたいな話に流れてもおかしくないと思うんだけど。余計なことは入れたくなかったのかな。
探偵が思いっきり胡散臭かったり、出てくる人がみんな怪しかったり、まさに推理小説のフォーマットなんだけど、被害者役が舞台上にいて、みんなのやりとりを眺めていたりする。被害者はみんなに嫌われていたという設定だったけど、人付き合いが下手だったということなんだろうか。
被害者が嫌われていた理由がよくわからず、最後に出て来た真相も何故このタイミングでと思ってしまう。病気で余命わずかということなのか、自分が受け入れられないという現実に絶望してしまったのか。唯一こころを通わせていたように見える女性と迎えるラストが何とも悲しい。
- 2018/02/18 17:00
- よりiどこ オノベカ
text by 小針幸弘