どこか宗教的に感じる プロト・パスプア『暗転 または悪意の後継』

プロト・パスプア「暗転 または悪意の後継」をシアターZOOにて。上演時間直前位に役者陣が入場し、ウォーミングアップともダンスとも取れる動きを始め、それ以降は常に舞台上で、出番がない時は脇に控えているという形式。暗転が続く中でまるで日本映画のようなシーンが展開され、結論は出ずに終わる。
最後のあたりの役者さんの衣装や対立なんかを見ると、善と悪ではなく神と悪魔の対立のようにも見えてくる。宗教画を思わせるような最後のシーンに引きずられたのかもしれないけど。罪のない人を試すならヨブ記とかだけど、試されてる人は罪人だものなぁ。
罪なきままに悪意を向けられて不幸に見舞われ、それを取り返すかのように悪意を他人に向けていく姿は、悪魔のようではあるけど、やはり哀しい。ただ最初の不幸の元が、その事をカケラも覚えていないのだから、ブチ切れても不思議はないのだけど。
今まさに悪意を向けられ、それに振り回される者と、かつて悪意を向けられ、振り回されたことのある者。過去の記憶として定着し、取り返しのつかない事だけに、後者の静かな怒りには説得力を感じた。どうするのが正解なのかはわからないけど。

  • 2018/02/24 15:00
  • シアターZOO
  • 約1時間20分

 

公演日:

text by 小針幸弘

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