3人だけで回す舞台を恐らく初めて観たので、どんな舞台になるか期待していましたが、軽々と越えられた印象です。
役者さんは全員とても声が良く、三者三様それぞれの魅力が伝わってきました。ただ、面白い舞台だったからこそ客席の笑い声で次のセリフが聞こえなかったり、捲し立てるようなセリフの言葉が(聞こえなくても良いのかもしれませんが)届きませんでした。脚本の言葉がすごく素敵で、見聞きしていてストレスのないセリフ運びだったからこそ、少し残念にも思います。それほどまでに、言葉の一つ一つを体内に取り込みたいと思える作品でした。
また、一つのベッドに椅子二脚と舞台装置も簡単なもので、特別音や光が目立っていた訳ではなく、本当に役者や演出が根幹をなしていたと思いました。欲を言えば、雅人と天皇、オカマの参三と男の参三、と一人二役のようにもなっている中、紅谷先生だけ精神科医の顔しかほぼ見られなかったので、精神科医ではない紅谷礼子も見てみたかったです。
この物語はどんな結末を迎えるのだろうと、まったく予想出来なかったのですが、終わりが近づくにつれて「あ~そういうことか~!」と、一杯食わされました。過度に抽象的でもなく、心を通過するほどストレートでもなく。分かりやすくて心に残る、とても良い劇だと思いました。私は好きです。
3月25日17時 サンピアザ劇場にて観劇
投稿者:しう(10代)
text by 招待企画ゲスト