様々な技巧 亀石しのぶ一人芝居『光の天使〜ヘレンケラーとサリバン先生〜』

亀石しのぶ一人芝居「光の天使〜ヘレンケラーとサリバン先生〜」をレッドベリースタジオにて。映画やガラスの仮面の劇中劇でしか知らないというレベルでの観劇。入場時からサリバン先生と出会う前のヘレンと思われるパフォーマンスでのお出迎え。不自由はあるけど、楽しめる範囲で楽しんでいる印象。

亀石さんはヘレン役で心の声を出すときには腹話術で発声。唇がほぼ動いていないけど、普通の発声と同じように聞こえてきたので、最初は普通に話しているのかと思ったくらい。喋れない人の演技に、天の声的な感じで当人の声が被さってくるのはなかなか凄い。

話の方は、映画などでの名場面の食事の場面、物には名前があると理解するくだりをしっかり描いた後、ヘレンが自ら発声しようとする場面に至る。不明瞭でよくわからないな音が徐々に言葉になって行く様は、何か神々しさすら感じた。この場面の照明もいい感じでした。

今回は、障害を乗り越え自分が得た喜びを他の人にも分けたいという素直な気持ちを、どのように伝えて行くかというのが話のヤマになっているので、悪役も出てこず、観ていて気持ちのいいくらい素直に前向きになれる作品。次回はどんな話をやるのか楽しみです。

  • 2018/05/19 15:30
  • レッドベリースタジオ

約1時間20分

公演日:

text by 小針幸弘

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