パンフレットから。
『女は街角に命の電話や占い師の卓を用意し、通りがかる男を網にかけようとする。通りがかった男はイカケシゴムを開発したゆえにブルガリヤ暗殺談に命を狙われている。男の現実はどんどん揺らぎ、女と男の虚実が入り乱れる。真実はどこにあるのか。』(本文まま転載。本来は暗殺団か?)
色が似てるからこういう発想がうまれたのかな?と考えたが、そういう訳でもなかった。
イカから消しゴムを作るメリットはなんなんだろうなと思いながら観劇。
女の妄想した領域に踏み込んだ男、というわかりやすい図式であるように思った。
女が主張する男が幼児を殺害しバラバラにしたという過去は、女の元主人だった人の過去そのものを男に押し付けたものであったが、妄想の方が現実味があるという展開。
女は事実という言葉を多用していた。これは事実は小説より奇なりという事の刷り込みのように思った。
序盤、女の「あなたの事は何でも知っている」というセリフまわしから、男が通常再生で女が逆再生の世界、パラレルワールド、車輪を噛み合わせて進む話なのかと思われた。
女の世界では男の持つ袋の中身、イカケシゴムの材料の生イカも、遺体の包みに変貌していた。
が、後半に女の領域、フィルター、女が信じられないものは事実ではないという妄信をベースにしているという事が独白で明らかになる。
女の世界であることが明示はされたが、それはステージ上、芝居上のところの話だ。さらに、明示されていない、客席との間にもう一枚のフィルターがある。
そこにこそ、不条理があると思った。
客席が真の真であり、男は真の偽であり、女は偽の真であった。
しかし。
終盤、二人芝居に関わらず、三人目の警官役が現れる。二人芝居であるのにだ。はっとした。これが偽の偽なのではないかと。
警官の役割はこうだ。男が女の世界から立ち去った後しばらくして現れ、女に話しかける。この近くで男が死んでいる。原因は不明。生のイカが入った袋を所持している。女は知らないと答え、警官は立ち去る。
この警官は存在しているように思うが、存在していないのではないか。
現に、この警官がいようがいまいが、因果は変わらない。
女が残り、男が立ち去ったそれだけだ。
いや、そもそも。これはただの女の一人舞台であるという可能性がでてくる。
やはり観客と女だけが真であるというメタ対決なのかもしれない。
女によるイカケシゴムを開発したという男の妄想、、、イカケシゴムとは、、、
と、どんどん思考が複雑化していく面白みがある作品だなと思った。
2018/7/14(土) 16時 zoo
投稿者:橋本(30代)
text by 招待企画ゲスト