弦巻楽団「歌は自由を目指す」をシアターZOOにて。風来坊の出来の悪い兄貴が堅実な暮らしをしている家族のところに帰って来るところから始まるという男はつらいよみたいな始まり方。基本的にコメディで、すったもんだあった末に、それぞれの道を見つけて……で終わると思ったら、エピローグが(笑)
コメディだけど、扱っている題材の日本パートは、田舎にありそうに見えるダークなもの。あれだけ振り回してしまった以上、ここにはいられないと言う感覚は、人間関係が壊れると途端に住みにくくなる田舎なんかの狭いコミュニティ特有のものといえるのかも。
兄貴の大ボラと思われていた事が、実家でその頃起きていた事を見ると、実は本当のことらしいと判らせていくあたりも面白い。その事を兄は知らず、弟も気がついていないようだけど、双方が知ったら、関係がどんな感じに変化するんだろ。あまり変わらないかな。
最初は兄と弟が逆かなとも思ったけど、兄の調子の良さや憎めなさの出し方は遠藤さんならでは。何かを押し殺して堅実に生きようとしている深浦さんも、話し方の節々から想いが垣間見える感じ。ほとんどの人が二役以上だったけど、それを活かしたネタもあり面白かった。
- 2018/06/16 14:00
- シアターZOO
text by 小針幸弘