プロト・パスプア「分裂と光」をコンカリーニョにて。かつて精神分裂症と呼ばれていた統合失調症の当事者の視点から描かれた世界。二役以上演っている人が多いけど、それがそのまま主人公の混乱を表していたりもする。3方向からの囲み舞台で、目の前を役者さんが走ったりする臨場感のある芝居。
むかし(中二の頃)、同じような境遇だったので仲が良かった友人との別れは、音楽が「転校生」で入れ替わった二人が別れる場面に使われていたものと同じだったので、ついつい連想してしまい、別れた友人が抜け出す前のもう一人の主人公のように見えました。
主人公の妄想(と言っていいのだろう)の内容は、いわゆる中二病的なもので、描き方によっては笑ってしまうような内容だけど、それによって混乱している様はとても笑えない。自分を気遣いながら接して来る人たちも全て敵に見えて来るような混乱ぶりは痛々しい。
主演の田中さんは、最後の落ち着いた感じがとても良かった。それまでの混乱ぶりがあるからその対比、多分この人はもう大丈夫と思えた。心にしみる旧友との再会と別れも、この落ち着きがあってこそ。
上演回数が少なかったけど、またどこかでやって欲しい舞台。
- 2018/06/16 17:00
- コンカリーニョ
- 約1時間30分
text by 小針幸弘