ラストが美しかった ボイとワークス『ずぶ濡れジャングル~秘密のサイ島~』

ボイとワークス「ずぶ濡れジャングル~秘密のサイ島~」をコンカリーニョにて。
入場時のBGMがワールドカップのアンセムで懐かしい曲がずらり。観劇前というより、テレビの前でワールドカップの試合を待っている感覚。話はとある目的で奇妙な風習がある集団に遭遇し、その集団と過ごす中で隠していたものが色々と露わになり……というもの。
サイ島(しま)という島の名前と劇中に起きるあれやこれやで、どうしても東日本大地震と福島を連想してしまうけど、直接的な言及はほぼない。しかし放射能とは違うけど、それを思わせる物質や、その物質に関わった者に対する差別などが描かれている。もっとも差別している側の心情に最初は同調してしまいやすくするために、触れたものの外見が変化しているいるという描写があるので、放射能と違うものとするのは当たり前ではあるのだけど。
大地震が再び発生し、同じ物質が降り注ぐという破滅的な状況でダンスを踊るラストは美しかった。世界が滅んだ後の名残のダンスといった風情。

  • 2018/06/30 17:00
  • コンカリーニョ
  • 約1時間30分
公演日:

text by 小針幸弘

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