敗戦後のサハリン 札幌座『フレップの花、咲く頃に』

札幌座「フレップの花、咲く頃に」をシアターZOOにて。

予約しておいて良かったと思わせる満席の中での観劇。アニメ映画「ジョバンニの島」の色丹島パートでも描かれていた戦後にロシア人とした共同生活を描いた話。まあ場所はサハリンなんだけど。
短い時間で、民族問題、当時は希望であった社会主義なども盛り込みつつ、終戦時にサハリンにいた人々の引き揚げまでの様子を描いたもの。最初はよく知らないもの同士で反発、慣れるにつれて徐々に距離が縮まっていき、待ち遠しかったはずの別れの時に、すでに相手が別れ難い存在になっていることに気がつく……というのはよくある流れではあるけど、やはり観ていて気持ちいい。
最初は日本人とロシア人だけの物語と思って観ていたので、朝鮮人労働者やアイヌ民族が出てきて意表を突かれたけど、終戦直後のサハリンを描いているのだから、あって当たり前の描写でした。日本人の彼らに対する態度も、当時としては妥当だったんだろうと思う。今だと問題になるんだろうし、観客にそう感じさせるようにやっているんだろう。
別離の悲しさの中で、それでも明るい未来を感じさせる終わりの中、エピローグで語られる、その後の物語がけっこう重かったりする。

  • 2018/07/01 14:00
  • シアターZOO
  • 約1時間40分
公演日:

text by 小針幸弘

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