≡マサコさんの部屋≡  vol.10   気張る男子4人が札幌上陸! さんぴん『NEW HERO〜札幌、旅の始まり コクの深まり〜』

なんだかキャラクターの濃い4人が面白いことをやっているなぁ、とチラシを見て思ったのは2015年のこと。その演劇ユニット「さんぴん」のメンバーは板橋駿谷(ロロ)、北尾亘(Baobab)、永島敬三(柿喰う客)、福原冠(範宙遊泳)の4人。これまで、東京と仙台、三重での「巡業」で好評を博してきたが、ついに北海道に上陸する。本公演について、KUNIO11『ハムレット』と範宙遊泳『幼女Xの人生で一番楽しい数時間』で札幌の舞台に立っている福原にコメントを寄せてもらった。

さんぴんの4人。中央後列から右回りに板橋駿谷、福原冠、北尾亘、永島敬三

さんぴんを始めたのが2015年。そこから5年間で日本の5つの地域で巡業をしたいという目標がありました。
旗揚げの年に東京、2年目に仙台と三重で巡業を行いました。次はどうしようかと考えた時、2017年は巡業を行わなかったこともあり「今年は2カ所でやりたいね。やるなら本州から出てみたい!」なんて話していたんです。
まず浮かんだのは北海道でした。4人がその土地に明るくなく(僕は2回、公演で北海道に行っていますが)、知人もいないところで巡業をやりたいと思ったからでした。
実は、仙台も三重もお誘いをいただいた上での巡業でした。ですが、誰かに呼ばれないとその土地へ行けないという考え方を捨てたかった。知らない土地に赴いて自分たちのことを知ってもらいつつ、人とその土地と出合いながら作品を育んでみたかったのです。なので、巡業ができる会場のあてもないまま、札幌でやろうと決めました。(会場が)ないのなら、野外でやってやろうぐらいの気持ちでしたね(笑)。
そしてもう1カ所、どうせやるならとんでもない発想でやりたいね、なんて話していて思いついたのが沖縄(那覇)でした。

「本州を跨いで北から南へ3600キロ、その旅の記録を自分たちのホームに持ち帰る」

そこから旅の終着点を東京として、再び東京でやろうと思いつきました。札幌と那覇でそれぞれ新作を作り、その2作を繋げて(あるいは掛け合わせて)新たに物語を付け加えた新作を11月、東京で上演します。
無謀にも1カ月で3つの新作を作ります(笑)。

緯度も経度も全く異なる3つの土地を一つの切り口(あるいはテーマ)で見つめてみる、そのことをしばらく考えていました。思いついたのが「味噌汁の具」と「カレーの具」でした。味噌汁の具とカレーの具って、地域によって違うんじゃないか、もっというと家単位で違うんじゃないか、そう思ったんです。それに「具」から始まるお芝居なんて観たことないし、想像もできないなぁと。味も匂いも目には見えない、食べたそばから消えてなくなる…。そこがなんとなく演劇と似ているような気がして。

今回は「味と匂いにまつわる演劇」です。それは粋で味な人生の、そして札幌の過去と現在の、あなたと誰かの物語です。

●さんぴん『NEW HERO〜札幌、旅の始まり コクの深まり〜』

よりiどこ オノベカ
10月6日17時 7日と8日それぞれ14時
※3公演ともアフタートーク有り
予約はhttps://www.quartet-online.net/ticket/sanpin_hokkaido

●さんぴん
2015年3月、板橋駿谷、北尾亘、永島敬三、福原冠の4人のダンサー・俳優によって結成。オルタナティブ且つアクティブな2015年型旅芸人チーム。日本各地に散らばるささやかで特別な人生の”断片”を集め”ひとつの人生”を紡ぎ出す。

・板橋駿谷(いたばし・しゅんや)
1984年生まれ。福島出身。ロロ所属。俳優。2012年、BIKKE(TOKYO NO.1 SOUL SET)、上鈴木伯周(TKD先輩)とラップユニット「HELL クライム」結成。ラッパーとしても活動中。・

・北尾亘(きたお・わたる)
1987年生まれ。兵庫県出身。Baobab主宰。振付家・ダンサー・俳優。

・永島敬三(ながしま・けいぞう)
1987年生まれ。埼玉県出身。柿喰う客所属。俳優。”夏場亭雛菊”として落語に挑戦中。

・福原冠(ふくはら・かん)
1985年生まれ。神奈川県出身。範宙遊泳所属。俳優。“ブロンドロングヘアー”名義でDJとしても活動中。

text by マサコさん

SNSでもご購読できます。