3作目でTGR初参加の妖怪大縁会。どうしちゃったの?と言いたくなるくらい面白くなかった。ボクは妖怪百歌物語を1作目から観ている。昨年上演された2作目の社守篇は面白かった。(終盤の反原発への展開は強引に思えたが。)昨年のTGR、ボクは大賞エントリーの2作品を観たのだけれど正直それらより面白かったのだ。けれど今回は二日連続、計4回の公演。疲労のせいか芝居も音楽もノリきれなかった感じ。伝わるものも伝わってこない。ボクの隣に座った人は「親子が再会したの?」と言っていた。本当は互いを知らぬ祖母と孫が出会うことができた話である。考えられない勘違いなのだが、想像していた妖怪の演劇と違って戸惑った可能性もある。メッセージ性が強いのだ。(ボクもあっけにとられて1作目はあまり覚えていない。)だが「今回が一番面白かった」という方もいらっしゃるようなので、観た回が悪かったのだろう。
国難を予感させる指笛のラストは良かったが、基本どう褒めたらよいのか分からないので観点を変えて感想を述べてみる。
TGRの劇団紹介文によると、毎年11月に上演されるのは故水木しげる氏の命日に合わせてとのことである。パンフレットの『サンクス』欄にも「水木先生!!」とある。水木氏は戦争を題材に作品を描いてはいるが「戦争反対」とは言わなかった方である。そのためインタビューした記者がうまく記事をまとめられなかったこともあるという。可能性としては、ある種の運動に担がれるのが嫌だったのでは?と思う。「言いたいことがあれば自分の言葉でいう。自分の言葉、名前を都合よく使って欲しくない。」ということだったのかもしれない。もちろん水木氏の真意は誰にも分からない。けれど分からないからこそメッセージ性の強い作品で、どのような形であれ水木氏の名前を出すのは適当では無い、とボクは思うのだがいかがだろう?
また、小学生料金を設定しているということは小学生の方々にも観てほしいということだろう。(当たり前の事を言ってスミマセン。)そうであるならば台本を作るうえで参考にした書籍などをホームページ上で紹介されることを提案したい。関心を持った小学生は読みたいと思うはずだし、難しくても両親に解説をお願いして親子で問題意識を持つ機会になるかもしれない。もしくは将来ふと思い出して参考書籍を手にすることだってあるかもしれない。そう考えると参考書籍を紹介することは、とても有意義なことだと思えるのだ。ボクとしては。
最後に牛島有佳子さんが演じたユタ。それは祭祀を司るノロにしたほうがいいと思ったのはボクだけだろうか?
2018年11/11(日)13:30 ターミナルプラザことにパトス
投稿者:S・T(40代)
text by S・T