分かりやすいから楽しめる 弦巻楽団#31 1/2『冒険ものがたり「青い鳥」』

メーテルリンクといえば『青い鳥』(これしか知らないのだが)。
不幸な身の上のチルチルとミチルが、見付けると幸せになるという青い鳥を探しに旅に出る。結局、「青い鳥」は身近にいた(あった)というこのファンタジー小説を、若い役者さんたち21名が元気に演じていた。

出演者は、速射砲のようなセリフをほぼ噛むことなく、しかも滑舌良く語りながらお芝居を進めていて、『ずいぶん練習したのだろうな』と思いつつも、舞台を観ながら心地よさを感じていた。とくにチルチル役の柾明日花さん、ミチル役の佐久間許都さん、そして魔法使いのベリリウンヌ役の田邊幸代(クラアク芸術堂)は、セリフが多く出番も多かったが、決して見る者を飽きさせない演技で好感が持てた。

また、舞台上に設置された6本の木のようなセットは、最後にはそれ自体が鳥かごのように見えてきて効果的だった。

ただひとつ気になったことを挙げれば、ラストと思わせる場面が本当のラストを入れて3回あったことだった。最終盤の暗転の使い方の難しさを感じたが、観ている側からすれば最後はスパッと終わった方が分かりやすくていいと思う。

1/2と銘打っていることから分かるように、出演の皆さんは演劇や演技の勉強をして、今回の舞台はその成果発表の場であった。同じような位置付けの演劇は以前にも観ているが(2017年11月の『リチャード三世』#28 1/2)、昨年の公演よりずっと良かった。その最大の理由は、「分かりやすい題材」を扱っているからだと思う。大作にチャレンジすることも大事だとは思うが、ストーリーが分かりやすければ、あとは出演者がどう演じるかが問題であり、そして現にうまく演じていたのだから公演の成否は題材に負うところ大である。その意味で今回の公演は成功だったといえるのではないだろうか。
こういった若い方々が演劇の魅力を強く感じて、役者として研鑽を積んでほしいと思う。
 
 
上演時間:1時間24分
サンピアザ劇場 2018年11月22日19時

投稿者:熊喰人

text by ゲスト投稿

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