男の純情に涙する きっとろんどん『ひみこ~る』

大層なタイトルをつけてしまったがボクの文章力ではそれを上手く説明できない。なので何方か男の純情という視点(個人的にはそこがこの作品の肝だと思っている)から感想を書いていただけたなら嬉しい。

突然ですがボクは観劇歴の浅い観劇素人です。どのくらい素人かというと今回が初の「きっとろんどん」で、観たことがある役者さんはリンノスケさんだけ。廣瀬詩映莉さんは表情の作り方から2年前に観たテレビドラマに出ていた方だと途中で気が付いたけれど。

卑弥呼の眠る地。その妖気に触れた人は気が狂ってしまう。そこで国家は人が近づかないように恐怖の都市伝説をでっちあげる・・・。

こんな内容だったと思う。というのも小ネタについていけずに辛かったのだ。きっとろんどんファンの方々からすると小ネタは当たり前?なのだろうけれど、上記の理由から予備知識が少なかった。感想のツイートをみては「自分には合わないのではないか?」と不安を募らせていた。ボクは笑いを重要視せず、笑いの奥にあるものが観たい!というタイプだから。みんな何で笑っているの?と思っているうちにどんどん話が進んでいく。笑いが起きるほど心は冷めていく。そんなこんなで物語があまり頭に入ってこない。眠気も襲ってくる・・・。(小ネタの積み重ねがあったからこそ最後の最後に感動できたという見方もできますが。)
好みに合わない演劇だと眠ってしまうボクなのだが最後まで観ることができたのは客演の方々によるところが大きかったと思う。特に岩杉夏さんの声と小ネタというよりコミカルな雰囲気の演技。岩杉さんを知ったのが今回一番の収穫。ボクは終演後、一気に劇場を離脱するのだが「素敵でした!」と声を掛ければよかった。ちょっと後悔・・・。

それとは反対に「きっとろんどん」の方々はあまり印象に残らなかった。客演の方が目立っているというのはある意味凄い。自分たちを売り込むことよりも良い作品を作るための配役を考えたのか?客演を大切にするというのはビジネスとして当たり前だとは思うけれど徹底していると感じた。好感を持った。

しかし、そうは言うものの印象が薄かった理由は他にもある。演技よりも衣装に目がいってしまったのだ。山科さんとリンノスケさん、国家の秘密を守る役人の役。最後列からの観劇で見間違いでなければだが、山科さんは茶系で穴が2列のベルト。それアリ?と思った。何かのネタなのかとも思ったが気になって仕方がなかった。
そしてリンノスケさんのジャケット。サイズが合ってなかったように見えた。スタイルが良いだけに悪い意味で目立つ。役人が色っぽいスーツを着ていたら其れこそ可笑しいけれど、もう少し気をつかってもよかったのではと思う。とは言ってもボク自身そんなにスーツを着る人間ではないので見当違いかもしれない。的外れな意見だとしたら申し訳なかったが、そう感じた人間がいたことも今後の参考にしていただきたい。変なところでケチがつかないように。

興味深かったのは雑誌のクロスワードパズルの正解の提案に「南京大虐殺」「パールハーバーを忘れるな」とあったこと。意図は分からなかったけれど。卑弥呼の妖気と関係させているのかなとも思ったが調べた限りではちがう?ようだ。「マッカーサーがくるまで今の日本国憲法はなかった」というセリフも考えさえられた。卑弥呼が眠る地を法律が無効の地ではなく憲法が無効の地とすることで日本の歴史の長さを感じた。あくまでボクの感想。

今回あまり笑えなかったボクではあるが、某新興宗教団体ネタには大笑いをした。他の人の笑い声は小さく、少なかったけれど。観客がその新興宗教団体を知らなかったのか、それとも新興宗教団体をネタにすることに危険を感じていたのか?(ネタとなった団体の内情を知るYOUTUBERも警戒していた。)いずれにしても観客の中に信者がいなかったとは言い切れない。きっとろんどんの人気が上がれば上がるほど「信者が激減したのは井上のせいだ」なんて恨まれる日が来るのかもしれない。半分冗談ではあるが用心に越したことは無い。万が一にでも都市伝説の主人公にならないために・・・。
 
 
2018年11/25(日)13:00
演劇専用小劇場BLOCH

投稿者:投稿者:S・T(40代)

text by S・T

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