中編の間に短編2本の作り ドラマユニット裏朱『愛や恋に対する幾つかの考察』

ドラマユニット裏朱「愛や恋に対する幾つかの考察」をことにパトスにて。
短編4本。ただし、1本目と4本目は繋がっているので、実質中編1本と短編2本と言えるかもしれない。
途中に挟まれている2本は直接の関りがないけど、ちょい役でもいいから1本目の登場人物が出てきたりしたら面白かったかもとも思うけど、これは好みの問題(あるいは気が付いていないだけかも)。

「恋に対する考察」

スケッチ的な物語。話の前編だけみたいだなと思ったら、本当に前編だった。もちろんこれだけで終了しても成立はするのだけど。仲間内の楽しげな雰囲気と、その関係を壊したくなくて伝えたいのに伝えられないもどかしさが伝わってくる。(ややこしい書き方)

「溺愛に対するレポート」

コメディというかコントみたいな感じで始まったけど、だんだんと怖い話に。話しかけられた男が、かなり話が進むまで気が付いていないように見えるのが余計に怖い。ホラー映画で主人公が状況に気が付いていない感じというあたりか。ラストも、ヒロインが何事もないように話しているあたり、実はこれが最初ではないのではと思えてくる。

「破局に対する報告」

コメディなんだけど、唯一まともに思える人がとても同情できない男というあたり、かなり意地が悪い。筒井康隆の昔の短編にありそうな作り。こういう妙な話というのは、話に乗れるかどうかで面白さが決まると思うけど、これはうまく乗せられました。

「愛に対する考察」

後編。あれから数年後に同じようなシチュエーションになり……という流れ。きれいな終わり方でした。間に2つ別の話が入ったので、観ている側としてもずいぶんと時間が経過したように感じ、その辺りはうまい構成となっていた。
  • 2018/07/28 20:00
  • ことにパトス

text by 小針幸弘

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