ありふれた大学生の姿は自分にも重なる。
なのに、登場人物たちに若さを感じなかったのはなぜだろう。
お金を工面するために、法に触れる植物を育てることになった女子大生とそのバイトを斡旋した友達。2人の信頼関係があったからこそ始められたバイトなのに、このバイトに2人の生活まで喰われていく。互いが互いに言えない秘密を抱きながら、不信感を募らせる。
得体の知れない植物を育てるあの一室は完全な非日常。それが日常化する生活に慣れきった主人公は、すでになにかを諦めている気がした。無邪気さやがむしゃらさが消えていき、ただ淡々と、植物の世話に勤しむ。
ああそうか、そうなんだ。あの子は私なんだ。やりたくて勤めた職場、やりがいだったはずの仕事に不満やつまらなさを感じていた私なんだ。
こういうことってよくある。非日常だからこそ高揚感もあり張り合いがある。日常の一部になることでつまらないものに思えてきたり、かえって安心さえしてしまう。
『微熱ガーデン』のあの狭い部屋の中で、のびのびと育つ植物たちとは対照に、登場人物たちの心が枯れていったのかな。
私の心は枯らさないようにしなきゃと耽って、自分自身がもう若くなくなってきたことを感じた舞台でした。
観劇の機会をいただき、ありがとうございました。
2018年12月8日 17時〜 シアターZOO
投稿者:投稿者:こいけさん(20代)
text by 招待企画ゲスト