≡マサコさんの部屋≡  vol.13   「おバカ」だけど「バカ」ではない 『第12回おバカな高校演劇対決』(後編)

前回、『おバカ』の概要を個人的な視点も交えて紹介した。今回は『おバカ』の中心人物、滝川高校演劇部顧問の二瓶耕一先生の寄稿を記載する。
それでは、張り切ってどうぞ!

なぜ、おバカ対決を始めたか。
面白い作品を作ったのに支部大会で終わって、悔しかったからです。
高校演劇の大会は基本、年1回。支部大会があり、これを勝ち抜くと全道大会があり、さらにその上に全国大会があります(※マサコさん注 支部大会は参加校数により全道大会への切符の数が変わる。ちなみに今年の石狩支部大会では参加37校のうち7校が全道へ)。上の大会に進むには審査を受けなくてはならないわけですが、演劇の審査は「自分たちが良いと思っていても、必ずしも審査員の評価と一致するとは限らない」のです。必死に作り上げた作品が、全く評価されないなんてことはよくあること。だから、自分たちで上演する機会を作ろうと思い立ちました。単独公演ではつまらないので、いくつかの学校を誘い、ある程度観客に入ってもらうために「エンターテイメント」を前面に押し出すことにしました。それが『おバカ』。バカになり切って観客を楽しませるというコンセプトです。

最初は手探りでした。何といってもお金がない。舞台を借りてスタッフをお願いして、照明や音響とか…と、合計すると数十万円の支出になります。それをチケット代だけで賄えるはずもないため、広告を募り、それでも足りない分は顧問が自腹を切りました。でも、何年も続けていると広告を取るのも上手になり、お客さんが安定して入ってくれるようになりました。何とか11回、続けてきました。ちなみに、須田製販(札幌)の営業部長がこの企画を気に入ってくださって、第2回からスポンサーとしてプログラムを作りに関わってくれています。最近は「CHファイル」というフリーペーパーの一部を、公式プログラムとして提供してもらっています。

レ・ミゼラブル in Hokuryou

難しかったのは参加校集めです。高校演劇の自主公演は入場無料のものが多いのですが、お客さんからチケット代をいただいての自主公演はハードルが高い。そのため、演劇部の組織力が高く、安定して良い舞台を作ることができる学校か、顧問が〝熱狂的〟に舞台に取り組んでいて参加を熱望する学校か、そういう学校でないと参加するのが難しいのが実情です。

今回の参加校で言えば、前者が札幌藻岩高校(※マサコさん注 毎年大人気です)、後者が根室高校(※マサコさん注 ヤバイです)です。根室高校は今年度の全道大会で大評判となった学校です。異色が大阪の精華高校。顧問の先生と私はフェイスブックだけのつながりですが、6年連続で北海道まで来てもらっています。

さて、いよいよ第12回。私たち滝川高校も芦別高校の力を借りて、「おバカ」の原点に立ち返った究極のエンターテイメントミュージカルを目指しますよ。ご期待ください。

〈二瓶先生による今回の見どころ〉
今年の期待は、根室高校『すこーぴおん』。30分の1人舞台の予定です。全道大会で会場を沸かせた彼が、またやってくれます。滝川・芦別連合は『れ・みぜろぶる 悲惨な私』。1時間30分の〝史上最低のミュージカル〟と銘打った舞台です。歌は下手だしダンスはしょぼい。だけど面白い。精華高校、札幌藻岩高校の内容は判明次第、Twitterなどで発表します。乞うご期待!

●二瓶耕一
にへい・こういち 滝川高校演劇部顧問。演劇部顧問歴27年のうち、全道大会参加は7回(第68回全道高校演劇発表大会のパンフレットにより)。夕張破綻を題材にした『バリバリ村の市民会館』と、会津藩屯田兵の話を舞台にした「日々新たにして」で全国大会(春フェス)へ。「実は意外に社会派なんです…」(←二瓶先生のメールより)

text by マサコさん

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