つくる過程も面白い 北海道文化財団アートゼミ・岩井秀人『自分の物語ワークショップ』

2018年12月中旬に行われたワークショップですが、忘れていたわけではありません。でも、いろいろうろ覚えです。すみません。

東京の劇団「ハイバイ」を主宰する岩井秀人を招き、2日間にわたって行われたワークショップ(以下WS)。下は16歳、上は60代の20人が参加した。WSは、参加者同士が名前(ニックネーム)を覚えるためのゲームを経て、1日目は「むかついたこと(怒ったこと?)」、2日目は「変な人(変わっている人?)」のインタビューから、岩井さんが印象的な話をピックアップ。3~4人のグループをつくり、その話を10分前後の演劇に仕立てる-という流れだ。

同じエピソードに沿って演劇をつくっていくのだけど、(当たり前だけど)アプローチの違いが面白い。さらに、そのエピソードがグループ内での話し合いや、役者・劇作をやる人のフィルターを通すと、思いがけない方向に話が振れる。参加者には、俳優として観たことがある人、つくった作品を観たことがある人もいて、「この人はこういうつくり方をするんだなぁ」と興味深く見た。

2日間で目を引いたのが、演劇ユニット「マイペース」の八十嶋悠介と「蘭越演劇実験室」の渡辺たけしの2人。八十嶋くんは、役者としてはふわっふわっとした話し方や、怒っていても「静」の演技を貫く点が素敵だった。岩井さんに「あの時計はそんなに高くないよ」とダメ出しをくらっていたが、演出で正面を向くことにこだわらず、パズルのピースを埋めていくような物語、せりふの緻密さが、どこかコントっぽいけれど面白い。本人にも謝ったが、「次こそマイペースを観ないと」と決意した。渡辺さんはどこか飄々としていて、力が抜けた姿が良かった。この人に少人数の対話劇をやってもらったら、かなり面白くなるのではないか。が、WSの最後、時間の制約で先に帰られたので、話ができなかったことに後悔。

一方で、普段公演をしている若手の役者、劇作家がもっと多く参加したら良かったのに、とも思った。だって、岩井さんって、松尾スズキを主役にした演劇をつくる人ですよ!オドモテレビに出ている人ですよ!映画『来る』の脚本(共同)を書いた人ですよ!…と考えると、2000円のWSって格安過ぎる。話を聞いたり、あわよくばLINE交換したりと、得るものがたくさんあったんじゃないかと思うのだけど…。

個人的には、『ある女』の話を聞けたのがとても良かったです。そして、(高野)吟子さんの破壊力にも爆笑しました。

・2018年12月15、16日 かでる2・7

text by マサコさん

SNSでもご購読できます。