落語の人情噺のような印象が残る 渡辺源四郎商店『背中から四十分』

渡辺源四郎商店「背中から四十分」をシアターZOOにて
出演者は4人だけど、主なところは2人。笑いが起きる場面も多く、落語の人情噺みたいに感じました。これを上手い噺家さんが落語にしたら、どんな感じになるだろうという想像をしてしまうけど、動きがある分舞台の方がいいのかな。
劇中でマッサージの場面がある(というかほとんどその場面)のを見ているうち、気持ちよさそうだななんて思い、楽しい会話を聞きながら、このままの時間が続けばいいのにと思えてくる。実際はもちろん終わりがあるし、きれい事ではすまない部分もあるんだけど。
効果音も印象に残る。ホテルの窓の開け閉めでの音の変化、特に閉じる時の音が、当たり前なんだろうけど動きとピッタリあっていて、セットそのものまでリアルに見えてきたし、携帯の着信音もバイブ音付きという凝りようで、電源を切り忘れたかと思ったりした。
楽しい会話が続くので、静寂が訪れた時は緊張感があった。何かが起きるのか、それとも……という感覚が気持ちいい。その場面中、特に変な動きをしている訳では無いのに、緊張感が高まるというのは、それまでの賑やかさの反動なんでしょうね。
  • 2019/05/17 19:00
  • シアターZOO

text by 小針幸弘

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