今回初めて弦巻楽団を観ようと思った。それは弦巻啓太氏曰く、「生涯の最高傑作」としているからだった。
勿論お初なので、それを判定する材料をボクは何も持っていないのだが・・・。
某新興宗教をディスるディスる。
安倍総理をディスるディスる。
劇場という閉ざされた空間ではディスったもん勝ちと言わんばかりだ。
風刺は良いと思うがちょっとくどかったかな。
新興宗教のディスりとしては、昨年観た『きっとろんどん』の切れ味は良かった。
安倍総理へのディスりを観て拉致被害者、その関係者の方々は喜ぶのだろうか?
ボクにはよくわからないので、少額ながら「救う会」を支援させていただいた。
「世界は素晴らしい。君のために、僕は何度でも嘘をつく。」
親の財産を処分して用意した2千万円を生徒に騙し取られ、その生徒を殺してしまった教師に、「世界は素晴らしい」とは嘘でもボクは言えない。
愛する妻に逃げられ精神が崩壊した男に、「世界は素晴らしい」とは嘘でもボクは言えない。
北朝鮮に拉致され離れ離れになった恋人たちには、再会できたのであれば「世界は素晴らしい」と言えるだろう。たとえその後テロで死んでしまったとしても。
長時間の出産に耐え切れず母親が死んでしまっても、父親に捨てられても、愛する人と最期を共にできるなら「世界は素晴らしい」と言えるだろう。
けれど前述の二人には、とても「世界は素晴らしい」とは言えないとボクは思った。
あの状況の二人に「世界は素晴らしい」と言えるのは、この世界を、この世界の理を創った神だけだろう。
新興宗教をディスったこの作品で「世界は素晴らしい」という台詞が作品の締めくくりに心地よく劇場に響く。
その言葉を発する佐久間泉真さんが演じる高校生。この作品は一人の役者が複数の人物を演じる。
彼が「神」に見えたのはボクだけだろうか?
2019年8月11日(日)18:00
生活支援型文化施設コンカリーニョ
追伸
『ユー・キャント・ハリー・ラブ!』の台本を購入しました。あれらの台詞が岩杉夏さんの口から出てきたら、そりゃ萌えるよね。
text by S・T