教文短編演劇祭2019を教育文化会館大ホールにて。
空宙空地が凄いのは分かっていたので、結果はある意味結果は予想通り。ただ、ほかの団体がダメだったかというと、もちろんそんなことは無く面白かった。ところで大ホールって、前の人の頭で演者の腰から下が見えないんですね。後半2本については上演中に左右に動く前の人の頭が気になって集中できなかったこともあり、投票はMike堂に。
マイペース「ラスト・ショウ」
コンビ解消で最後となった漫才を終わらせたくない側が設定を次々変えて終わらせないという話。ネタをまとめにかかったと思ったら、そこから次々と今までの展開を無視するような新展開。思いもよらない展開で、どうなるかと思ったら客席の寺地さんに男ふたりが叱られてシュンとなるというオチ。次は何が起きるかと楽しんでいた自分も叱られた気分でした(笑)。
Gフランケン「ドッキリ・タイムズ」
テレビのドッキリ企画と思ってリアクションをしていたら、どんどんと変な方向に行って、取り返しのつかないところに……という話。主人公が総理の物真似をしているうちに、いつの間にかそれが本当になったり、悪夢を見ているような話でした。世にも奇妙な物語で騙す側が引っかけられて悪夢の展開というのがあったけど、引っかけられる側がどなふうに見せればウケるかと考えているタレントという設定なので、リアクションで自らドツボにハマっていく様子が哀れではあります。まあ自業自得という感じもあるけど。
Mike堂「おそらく地球は消滅します。」
紹介映像で設定を説明してしまい、いきなりのあの状況。登場人物は三人なんだけど、どれも異常なキャラ立ち。コメディっぽく進むけど、特に終盤は妙な理屈っぽさが楽しかった。思い出してみると初めから女性は理詰めで話していて、男がそれに振り回されるような展開だったけど、手探りで相手と対峙してた前半に比べ、相手の正体を理解した後半はリミッターが解除された感がありました。ラストは映画のポンペイを連想して映像が頭に浮かんできてスペクタクルな絵の中抱き合う二人と脳内変換。
空宙空地「ショウアワセルフ」
照明が時計回りに移動して人の一生を描いていく。妻の最後の7日間とそれに抗おうと反時計回りに走り回る夫の姿が感動的……なんだけど、前の人の頭が左右に動くのが気になり集中できず。自分も動いていたと思うので後ろの人に悪い事をした。何となく連想したのは、以前話題になった鉄拳の「振り子」。つらい運命を、ただ受け入れるのではなくて、無駄かもしれないけど懸命に抗おうとする姿というのは感動的ですね。あと最後の7日間は、そういう歌があるというのを後で知りました。知っていたら、感動が倍増したのかな。
星くずロンリネス「ヒーローシチョウ」
毎回巧みな言葉遊び。今回は回文で無理やりな感じもあったけど面白かった。ただ人前で話すことが苦手な市長の心の叫びのように絞り出してくる感動的なスピーチ(言い過ぎか)をみると、少し霞んで見えたのが残念。回文に振り回されるドタバタは面白いんですけどね。しかし回文といい「マナーモード」というあだ名といいよく考えつくなぁ。
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2019/08/31 14:00
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札幌市教育文化会館大ホール
text by 小針幸弘