≡マサコさんの部屋≡  vol.17   熱意を劇場で見届けて! 札幌凱旋公演を行う「メロトゲニ」の役者・制作、白鳥雄介に聞く

 昨秋から約1年、他のことに脇目を振らず勉強していたが(無事、合格しました!!!やったー!)、もともとは超ものぐさである。自由な時間をもらえるなら、パソコンでBリーグの中継を見ていたいし、「第五人格」(※マサコさん注 鬼ごっこのようなゲームです)の実況を見ていたいし、とにかく寝ていたい。もはや、廃人の一歩手前にいるような気がする。

 そんな私とは違って、メロトゲニで制作もやっている白鳥くんはきっちりしている。メールもLINEも返信が超早い。その内容も的確。まさに「制作の鏡」である。でも、上京する前に白鳥くんと会ったのは片手で余るくらいの回数で、人となりを詳しく知っているわけではない。直接話したのは公演の前打ち取材とか、観劇後に感想を伝えるとかその程度だが、その当時から「この人、裏方もできる気がする」となんとなーく感じていた。他の20代の役者たちとは違って、自分が出演する舞台にひたすら没頭するのではなく、少し距離をとって全体を見ているような、そんな印象があったからだ。だから、誰かのツイートで白鳥くんの東京行きを知った時、パブロ学級の能登屋(ヒヒ丸)くんの時とは違って、「やっぱり行っちゃうよね」と納得した。

メロトゲニ「ちょっとそこらの、マドリー」

 さて、メロトゲニ初の札幌凱旋公演である。私が直近で観た(村田)こけしちゃんの作品は2016年の『食べごろ図鑑』。それを含めてこけしちゃんがつくった作品を思い返すと、観ている間よりも観た後にじわじわ感情がわき上がってきたり、全く関係ないことをきっかけに場面を思い返したり、最初は取っ付きにくくてももう一度観たくなったり-とクセになるような印象が強い。『こぼれた街と、朝の果て。〜その偏愛と考察〜』は「メランコリ・ラブストーリー」とのこと。でも、絶対、一筋縄じゃいかない気がしてたまらない。

メロトゲニ「リトル・エスパーティ」

 札幌公演には、中高生(演劇部の顧問やコーチもOK)の無料招待枠があるそう。無料招待を実現するためにクラウドファンディングまでやっちゃった人たちだから、観ておいた方が断然良いと思う(公演情報の問い合わせ先まで気軽にどうぞ)。そして、舞台を観た中高生、ぜひ感想を「札幌観劇人の語り場」まで送ってくださいませ。
※大学生以上の観劇人(作演家・俳優以外の観客)の感想投稿も歓迎しています。中高生は演劇活動を問わず歓迎!!!

白鳥雄介さん

東京の演劇ユニット「メロトゲニ」の俳優、白鳥雄介と申します。
僕は数年前まで札幌を中心に俳優活動をしていました。30歳を前に、俳優などの活動が次の仕事になかなか繋がらないこと、北海道内では「チャンス」が少ないことに閉塞感を感じ、「この世界から足を洗おう」とも考えました。でも、東京で活躍する先輩たちの話を聞くうちに東京への憧れを抱き、「上京して活動を続けよう」と決心しました。

僕を東京へと導いてくれた一人が、今、東京のエンタメ業界をひた走る人気作家で、今もなお、地元札幌を盛り上げ続ける川尻恵太さん(SUGARBOY主宰)です。今思えば、「白鳥は(東京に)来ないの?」と聞いてくれたのが転機でした。

メロトゲニ「苦いアーモンドのかじり方。」

そしてもう一人が「メロトゲニ」の代表、村田こけしです。村田とは5年前、僕が札幌で細々と俳優活動を続けている時に出会ったのですが、僕よりも先に上京しています。そんな村田に「東京、楽しいよ。」と言われ、そんなに楽しいのなら行った方が良いのかもと迷いを断ち切りました。

東京で暮らし始めて2年半。今も満員電車や人混みに疲れることもありますが、たくさんの人との縁に恵まれてきました。上京した当初は仕事もなく、アルバイトばかり。お金も全然なくてつらかったです。今も裕福とは言えませんが、いろいろな人に支えられています。また、東京は毎日、どこかの劇場で演劇公演が行われていて刺激的です。人や公演の数は札幌よりもずっと多いですが、演劇を好きな仲間に囲まれているのは札幌と変わらないですね。

メロトゲニ「レジャー・ド・ホテル」

メロトゲニに話を戻すと、村田は札幌で「おかめの三角フラスコ」という演劇ユニットで俳優の原彩弓と活動していました。その後、2人は上京してメロトゲニを結成。僕はその後に加入しました。そんなメロトゲニは、諸先輩たちからの手助けもいただいて、初の札幌公演を行います。札幌で活動していた仲間と、東京で出会った仲間とが一緒になっての念願の凱旋公演。みなさんの応援あってのことと感謝の気持ちでいっぱいです。

札幌公演では、若い人たちにも何かを渡していきたい-という思いからクラウドファンディングに挑戦し、その資金を使って「中高生無料招待枠100人分」を用意しました。中学生や高校生で演劇に興味がある人(顧問の先生や保護者を含みます)をメロトゲニの公演に招待します! 東京や札幌の演劇の面白さが若い人たちにも広がり、演劇の発展に少しでも貢献できればと思っています。中学生、高校生の皆さん! メロトゲニのお芝居をこの機会にぜひ、観に来てください。

そして、札幌の演劇ファンのみなさんには、村田こけしが作り出す「言葉にできない瞬間」を見届けてほしいです。イベントや劇団員で美術家の金子ゆりによるグッズもお楽しみに!!

●白鳥雄介
しらとり・ゆうすけ 1989年、札幌生まれ。高校時代、中学校の同級生と組んだお笑いコンビで、「M-1甲子園(全国高等学校お笑い選手権)」の決勝大会に2年連続で出場。その後、札幌でタレント活動を開始し、舞台出演やテレビレポーター、ラジオパーソナリティーなどを務める。2017年に上京。メロトゲニでは俳優と制作を担当。演劇ユニット「Stokes/Park」主宰。大相撲ファン、弓道二段。

●メロトゲニ page.5『こぼれた街と、朝の果て。〜その偏愛と考察〜』札幌公演
・演劇専用小劇場BLOCH(札幌市中央区北3東5岩佐ビル1階)
・11月28日と29日は各日20時、30日14時・19時(21時30分からイベントあり)、12月1日14時
・前売り:一般2500円、学生1500円。当日は各500円増
・チケットぴあ、イープラス、ローチケ、カルテット・オンラインで取り扱い(高校生以下の無料招待はカルテット・オンラインのみ)
・問い合わせ(中高生の無料招待についての相談も) 制作 TEL.090-5951-9639、mellotogeni@gmail.com

text by マサコさん

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