惑いすぎな二人が愛しくなる。弦巻楽団#35『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』

・舞台が寝室というのが、良かった。昼の服(公)を脱いで、パジャマ(私)に着替える場所。心がゆるんで、ついつい昼間は言わないことまで言っちゃう場所。言わなくてもいいことまで言っちゃう場所。最適。

・日常は、小さなエピソードの積み重ねだなと思う。夫婦の天窓の話、手のケガ、元カノにまつわるアレコレ等。時が経てば全部、眠る前の四方山話になるように、今日の話もいつか「離婚調停ってさー」みたいな、どちらかの雑談ネタになるのかな。なるだろうな。

・貞九郎みたいに一見デリカシーなく他人の事情に踏み込んでくるけど、憎めない人とか。大和みたいに頑固でなかなか他人に本音を言えないけど、弱ると駄々洩れになる人とか。「いるいる、こういう人」と妙に共感。四十男の二人暮らしが、本当にこんな男子校みたいなノリなのかは知りませんが、不惑のくせに惑いすぎだろこのアラフォー達。意外と楽しそうで羨ましいぞ。でも毎晩五月蠅そうだから、隣とかに住んでいたら嫌だな(笑)

・「裏切り者」と「ありがとう」のエピソードは、絶対後から来ると思っていた!人から影響を受けながら、ほんの少し自分が変化するのって楽しいよね。いいねー。と、最後はニマニマしながら見守ってしまう。

・そう、なんか見守っちゃう魅力のある二人だった。役者さんが観てて違和感なく演じていた点も大きいのかな。しばらく深浦さんは大和に、村上さんは貞九郎に見えてしまいそう…。お二人も良かったのですが、他のキャスト(もうちょいオジさん希望)でもぜひ観てみたい。

そんなことをポツポツ思いながら観た1時間半。結構ずっと笑っていた気がする。

再演するのが、もう既に楽しみな作品を観ることが出来た。2020年、幸先よさそう。

2020年1月18日(土)14:00- サンピアザ劇場

text by うめ

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