2020年年末の1日限りのアトリエ公演として行われた若手による岸田國士の戯曲2本。おそらく、コロナの影響が大きく出始めて以来、初めて観た演劇だったはず。
『命を弄ぶ男二人』は、2人の男の掛け合いが場面によってまっすぐなやり取りになったりコントのようになったりと目まぐるしい。もう少し力が抜けていたほうが不気味さや可笑しさがフツフツと沸き上がるようなつくりになったのかなと思う。
『ヂアロオグ・プランタニエ』は、経験のまだ浅いAチームと中堅のBチームの2組がそれぞれ演じた。
Aチームの、戯曲が書かれた当時の言葉遣いに振り回されるような感じが稚拙というより逆に初々しかった。陽キャと陰キャのお嬢さんたちのマウントの取り合い。でも、それは本気で1人の男を自分のものにしたい気持ちというより、まだ恋に恋しているのねと感じさせるものだった。
対して、Bチーム。間合いと余裕が大人の女の心の底に潜む思いを見え隠れさせてゾクゾクした。お互い相手ではなく、外にはずした目線の先に、男に対する気持ちや強い言葉とは裏腹な自信のなさが見えるようで切なくなった。帰り道で反芻しながら涙が出てきたほどに。
役者、演出のやり方により一言一句同じ戯曲がこれだけ別物になるというのが本当に面白かった。
久しぶりの生の息遣いにほんの少し当てられながらも、演じることをやめない意志を持つ人たちの姿にほっとしたひとときだった。
2020年12月27日 19:00 ELEVEN NINESスタジオにて
text by わたなべひろみ(ひよひよ)