マサコさん、高校演劇・春フェスを振り返る ②市立札幌啓北商業高校『ラフ・ライフ』

『ラフ・ライフ』は春フェスで3回目の観劇になる。作品の詳細は昨年末の投稿で書いたので割愛するが、石狩支部大会→全道大会提出の映像→春フェスと、3つの大会を観て思うのは、以下の点である(春フェスに関するツイートと重複する部分もあります)。

1.遥が面白くなっていた

2.観客の反応

3.作者・新堀浩司さんの思い

まず、1について。マジメな人を引き立てるには、やや適当だったり抜けた人がパートナーになっていると効果的な気がする。例えば、シャーロック・ホームズとワトソン(イメージは、宮崎駿も監督で関わったアニメ『名探偵ホームズ』)、貴志祐介の小説『鍵のかかった部屋』の榎本径と青砥純子(ドラマでは大野智と戸田恵梨香)、和山やまのマンガ『女の園の星』の星先生と小林先生-などなど。例がマニアックかもしれないが、ホームズも榎本も星先生も「堅物」さが際立つ。ということで、周囲から「マジメ」と言われる薫のマジメ度をアップさせるには、遥に「適当な感じをもっと出してほしい」とずーーーーーっと思っていた。春フェスではどうだったかと言うと、遥は「適当」ではなかった。本作を観たのが3回目というのも関係するかもしれないが、遥は薫に寄り添っているように見えたのである。漫才をやることになった薫を冷やかし、はやし立てながらも見守る。そんな気持ちが、演じる澤田さんの姿から見て取れた。そういう演出に変えてきたのか、全然意図したものではなかったのかはわからないが、数カ月でこんなに演技が変わるものなのかと嬉しく思った。

次に2について。石狩支部大会は観客に人数制限があり、全道大会に提出した動画は校内で撮影したので無観客。一方、春フェスはコロナ対策のため幕間の換気や消毒があったものの、前2列を空けてほぼ満席だった。だから、「あ、ここでウケるのか」「ここで笑うのか」と観客が声をあげる場面を初めて知った。そういう観客の反応があればあるほど演じる側も楽しいのだろう。石狩支部大会よりも生き生きとして見えたのは、そんな後押しがあったからかもしれない。

最後に3について。福岡に行く前、顧問のさいとぅー(齊藤光明)先生を通じて、新堀さんと観劇後にお会いすることになっていた。大変申し訳ないのだが、『ラフ・ライフ』を観るまで新堀さんや「演劇修団たまてばこ」を知らず、「ここ(語り場)にいろいろ書いたし、なんか、怖い人だったらどうしよう」と超人見知りな私は思っていたが、とてもとても穏やかな方だった。本作は、啓北商業の前にも他の高校が上演してたようで、学校ごとに「同じ本でも色が違う」ということを踏まえ、「啓北商業らしい優しい舞台だった」と嬉しそうに話していたのが印象に残っている。特に「生徒会長はイメージ通り」だったそうだ。ところで、新堀さんが主宰する「たまてばこ」の舞台『カミサマの幸い』(無観客公演)の映像が公開されている。後日、観る(観なければいけない映像が山積!歯痛のせい!)。

 

啓北商業の上演後、希役の木口さんと少し話すことができた。昨年の石狩支部大会を通じて、演じる側の生徒たちとはほとんど話せなかったからとても嬉しかったのだけど、口が回らなかったのは、私が超人見知りだからである。

 

2021.3.27 北九州芸術劇場で観劇

text by マサコさん

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